上流工程がつまらないと感じたら|理由と、面白さを取り戻す関わり方

読者の方

上流工程を担当するようになりましたが、会議と資料づくりばかりで、正直つまらないです。プログラムを書いていた頃のほうが楽しかった気がします。

ぼく

上流工程に移ってつまらないと感じる人は、実は多いんです。作る手応えが減り、成果が見えにくくなるからです。つまらなさの理由を分けると、面白さを取り戻す方法も、戻る道も見えてきますよ。

要件定義や基本設計などの上流工程は、キャリアアップの道として語られることが多い仕事です。年収も上がりやすく、プロジェクトの方向を決める重要な役割を担います。それでも実際に移ってみると、会議、調整、資料の修正が続き、自分の手で何かを作る実感がなくなって、「つまらない」と感じる人が少なくありません。

結論から言うと、上流工程がつまらないと感じる理由は「作る手応えがない」「調整と資料ばかり」「成果が出るまで時間がかかる」「自分の判断で決められない」の4つです。上流工程の面白さは、業務の課題を解き、システムの形を決めるところにあります。その面白さに触れられる関わり方を工夫し、それでも合わないなら、技術を深める道に戻るのも立派な選択です。

この記事では、上流工程がつまらないと感じる理由、上流工程ならではの面白さ、つまらなさを減らす工夫、向いている人と向いていない人、そして開発に戻る場合の考え方を説明します。

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目次

上流工程がつまらないと感じる、4つの理由

まず、つまらなさの中身を整理します。

理由よくある状況変えられる余地
作る手応えがない自分で書いたものが動く瞬間がなくなった一部ある。検証や試作に関わると取り戻せる
調整と資料ばかり会議の準備、議事録、資料の修正で1日が終わるある。資料の作り方や会議の進め方を変えられる
成果が出るまで時間がかかる決めたことが形になるのは数か月先一部ある。小さな区切りで成果を確かめる
自分の判断で決められない顧客や上司の意向で決まり、自分の考えが通らないある。判断の材料を作る役割を担うと変わる

開発から上流工程に移った人ほど、1つ目の「作る手応えがない」を強く感じます。仕事の喜びの形が変わったことに、まだ慣れていないだけの場合もあります。

「上流が上」という考え方に、縛られていないか

上流工程はキャリアの上の段階と言われることが多く、つまらないと感じても「戻るのは後退だ」と思い込んでしまう人がいます。しかし、上流と下流は役割の違いであり、どちらが上ということはありません。技術を深めて高い評価を得ている人も多くいます。自分がどんな仕事に喜びを感じるのかを、先入観を外して考えてみてください。

どの理由が大きいかは、1週間の仕事の時間の使い方を書き出すと見えてきます。

上流工程でつまらなさを感じやすい、職場の特徴

つまらなさは、本人の向き不向きだけでなく、職場の環境から生まれていることもあります。

職場の特徴起きやすいことつまらなさへの影響
顧客の言うことをそのまま書く文化要件を整理するのではなく、要望を書き写すだけになる考える余地がなく、作業に感じる
資料の体裁へのこだわりが強い中身より、見た目や言い回しの修正に時間を取られる本来の仕事に時間を使えない
決める権限が上に集中している自分の案がほとんど採用されない手応えを感じにくい
開発と上流が完全に分かれている設計したものがどう作られるか見えない成果の実感が持てない

こうした特徴が強い職場では、上流工程の面白さに触れる機会そのものが少なくなります。自分に向いていないと決める前に、職場の環境が原因になっていないかを確かめてみてください。

上流工程ならではの、面白さ

つまらないと感じる一方で、上流工程には、ほかの工程では得にくい面白さもあります。

  • 顧客の業務の課題を聞き出し、本当に必要なものを見つける
  • システムの全体の形を、自分たちで決められる
  • 複数の立場の意見をまとめ、合意に導く
  • 自分が決めた仕様が、多くの人の仕事を変えていく
  • 技術だけでなく、業務や経営の視点が身につく

上流工程の面白さは、「何を作るか」を決めるところにあります。作る手応えの代わりに、課題を解き明かし、形を決める手応えがあります。この面白さに触れる機会が少ないと、つまらなさだけが残ってしまいます。

読者の方

資料の修正ばかりで、課題を解く面白さにはまだ触れていない気がします。

ぼく

それなら、つまらないと感じるのも自然です。課題を整理したり、仕様を考えたりする場面に、自分から関わる機会を増やしていきましょう。

面白さを感じた場面があれば、小さなことでもメモに残しておきましょう。後で続けるかどうかを考えるときの、大切な判断の材料になります。

調整と資料づくりの負担を、減らす工夫

上流工程のつまらなさの多くは、調整と資料の作業に時間を取られることから来ています。

資料の目的を確かめる

その資料が、誰の何の判断に使われるのかを先に確認します。

構成を先に合意する

中身を作る前に、見出しと伝えたい結論を上司や顧客と合わせ、作り直しを減らします。

テンプレートを使う

よく作る資料は、構成と書き方の型を用意しておきます。

会議の目的と決めることを事前に伝える

会議の前に論点を共有し、会議の時間を短くします。

決まったことをすぐに共有する

会議の後に、決定事項と宿題を短くまとめて送ります。

資料の作り直しは、目的と構成が合っていないことから起きることがほとんどです。最初に目的と構成を合わせるだけで、修正の回数は大きく減り、考える仕事に使える時間が増えます。

議事録は、決まったことに絞る

議事録は、発言をすべて書き起こす必要はありません。決まったこと、決まらなかったこと、宿題と担当と期限の3つに絞ると、作成の時間が大きく減り、読む人にとっても分かりやすくなります。形式を事前に関係者と合わせておきましょう。

作る手応えを、取り戻す方法

上流工程を続けながらも、手を動かす手応えを取り戻す方法があります。

  1. 画面の試作や、簡単な動く見本を作って、顧客との認識をそろえる
  2. 技術的に実現できるかの検証を、自分で担当する
  3. データの流れや業務の流れを、図にして整理する
  4. 開発のチームと、設計の意図を直接話し合う
  5. テストの段階で、仕様どおりに動いているかを自分で確かめる

特に1つ目の試作は、上流工程と作る喜びをつなぐ方法です。文章の資料だけでは伝わらない仕様も、画面の見本があると顧客との話が一気に進みます。作る力を持つ人だからこそ、上流工程で発揮できる強みです。

小さな区切りで、成果を確かめる

上流工程の成果は、形になるまでに時間がかかります。要件の一覧が固まった、顧客と画面の見本で合意できた、など、小さな区切りごとに達成を確かめると、手応えを感じやすくなります。チームで区切りを共有し、進んだことを言葉にする習慣をつけましょう。

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自分の判断を、仕事に反映させる

顧客や上司の意向で決まり、自分の考えが通らないと感じるときは、関わり方を変えてみてください。

通りにくい関わり方通りやすい関わり方
この仕様のほうがいいと思います、と意見を言う案を2〜3つ出し、それぞれの費用、期間、危険を並べて示す
決まった後に、問題を指摘する決める前の段階で、判断に必要な情報を集めて提示する
技術の言葉で説明する業務や費用の言葉に置き換えて説明する

上流工程で自分の判断を反映させるには、判断する人が選びやすい材料を作ることが近道です。材料を作る人の考え方は、自然と決定に反映されていきます。

判断の材料は、1枚にまとめる

判断の材料は、長い資料より、1枚にまとめたほうが使われます。決めたいこと、案ごとの比較、自分のおすすめとその理由を1枚に並べると、判断する人が短い時間で選べます。おすすめを書くことで、自分の考えを自然に伝えることもできます。

上流工程で身につく力は、どこでも通用する

つまらないと感じていても、上流工程で身につく力は、将来どの道に進んでも役に立ちます。

  1. 相手の話から、本当の課題を見つけ出す力
  2. あいまいな要望を、決まった形に整理する力
  3. 立場の違う人の意見をまとめる力
  4. 技術の話を、業務や費用の言葉に置き換える力
  5. 全体を見渡して、優先順位を決める力

これらの力は、開発に戻った場合も、プロジェクトマネージャーやITコンサル、社内SEに進んだ場合も、仕事の質を大きく高めます。つまらない時期を、将来の土台を作る時期と捉えることもできます。

読者の方

開発に戻ったとしても、無駄にはならないんですね。

ぼく

むしろ強みになります。仕様の背景を理解して作れる開発者は、どのチームでも重宝されますよ。

つまらない時期に、意識しておきたいこと

つまらないと感じる時期も、担当した要件の範囲、合意までにかかった期間、打ち合わせで見つけた課題などを記録しておくと、後で自分の成長を確かめられます。どの道を選ぶ場合も、その記録は職務経歴書の材料になります。

上流工程が向いている人、向いていない人

上流工程が合うかどうかは、仕事のどこに喜びを感じるかで分かれます。

向いている人向いていない人
人の話を聞いて、課題を整理するのが好き一人で集中して作ることに喜びを感じる
あいまいなことを、決まった形にまとめるのが得意決まった仕様を、正確に形にするのが得意
複数の意見の間に立つことが苦にならない調整や交渉に強いストレスを感じる
成果が出るまで待てるすぐに結果が見えることにやりがいを感じる

向いていない側に多く当てはまる場合でも、すぐに決める必要はありません。半年ほど、面白さに触れる工夫をしてみて、それでも合わないと感じるなら、働き方を見直すタイミングです。

向き不向きは、経験とともに変わる

上流工程を始めたばかりの頃は、調整や資料の作業に慣れず、向いていないと感じやすいものです。経験を重ねて進め方の型が身につくと、同じ仕事でも負担が減り、面白さを感じられるようになる人も多くいます。1年目の感覚だけで向き不向きを決めず、少し長い目で見てみてください。

顧客との打ち合わせを、面白くする聞き方

上流工程の中心は、顧客から要望を聞く打ち合わせです。聞き方を変えると、同じ打ち合わせでも、課題を解き明かす面白さを感じられるようになります。

  1. 「何が欲しいですか」ではなく「いま何に困っていますか」と聞く
  2. 困りごとが起きる場面を、具体的に話してもらう
  3. その作業が、業務の中でどんな目的を持っているかを聞く
  4. 要望の背景にある、本当の目的を確かめる
  5. 聞いた内容を、その場で図や箇条書きにして確認する

顧客が言う要望と、本当に必要なものは、違うことがよくあります。「画面にこの項目を追加したい」という要望の裏に、「月末の集計を早く終わらせたい」という本当の目的が隠れていることもあります。その目的を見つけ、より良い解決の形を提案できたとき、上流工程ならではの手応えを感じられるはずです。

業務の流れを、自分で描いてみる

顧客の業務を理解するには、話を聞くだけでなく、業務の流れを図に描いてみるのが効果的です。誰が、いつ、何を受け取り、何をして、誰に渡すのかを描くと、どこに無駄や手間があるかが見えてきます。描いた図を顧客に見てもらうと、話が具体的になり、新しい課題が見つかることもあります。

続けるか戻るかを決める、判断の手順

上流工程を続けるか、開発に戻るかを迷ったときは、次の手順で考えると決めやすくなります。

つまらなさの理由を書き出す

4つの理由のうち、どれがいちばん大きいかを確かめます。

工夫を半年試す

資料の負担を減らす、試作に関わるなど、面白さに触れる工夫を試します。

喜びを感じた場面を記録する

半年の間に、仕事で手応えを感じた場面を書き留めます。

記録を見返して決める

手応えが上流の仕事にあるか、作る仕事にあるかを見て、進む道を決めます。

記録を見返すと、自分が本当に喜びを感じる仕事がはっきりします。気分ではなく、事実をもとに決めることで、後悔の少ない選択ができます。

開発に戻るという選択

上流工程がどうしても合わない場合は、開発や技術の専門の道に戻ることも前向きな選択です。

  • 上流工程の経験は、設計の意図を理解できる開発者としての強みになる
  • 技術を深める専門職の道で、高い評価と年収を得ている人も多い
  • テックリードなど、技術と設計の両方に関わる役割もある
  • 戻った後に、再び上流工程に関わる機会もある

上流工程を経験した開発者は、顧客の業務や仕様の背景を理解しているため、チームの中で頼られる存在になります。戻ることは後退ではなく、経験を活かした別の道です。

戻るかどうか迷う場合は、上司に相談して、開発と上流工程の両方に関われる役割がないかを確かめてみるのもよいでしょう。

戻る場合の、伝え方と進め方

開発に戻ると決めた場合は、上司への伝え方にも工夫が必要です。「上流工程が嫌になった」ではなく、「上流工程で得た業務の理解を活かし、技術の面から設計の質を高める役割を担いたい」のように、経験を活かす前向きな理由として伝えてください。

社内で戻る道がない場合は、転職も選択肢になります。その場合も、上流工程で担当した要件定義や設計の経験は、開発の求人で強みとして評価されます。職務経歴書には、担当したプロジェクトの規模、整理した要件の範囲、設計で工夫したことを具体的に書き、技術の学習を続けていることもあわせて伝えましょう。

戻った後も、上流工程で身につけた視点を意識して働くと、再び設計に関わる機会が巡ってきたときに、より自分らしい関わり方ができるようになります。

よくある質問

上流工程がつまらないのは普通ですか

普通です。特に開発から移った人は、作る手応えが減り、調整や資料の作業が増えることで、つまらなく感じやすくなります。

上流工程の面白さはどこにありますか

顧客の業務の課題を解き明かし、システムの形を決め、多くの人の仕事を変えていくところにあります。

資料の作り直しが多くてつらいです

資料の目的と構成を先に合意すると、作り直しは大きく減ります。

上流工程から開発に戻るのは後退ですか

後退ではありません。上流工程の経験は、設計の意図を理解できる開発者としての強みになります。

上流工程に向いているのはどんな人ですか

人の話を聞いて課題を整理し、あいまいなことを決まった形にまとめ、意見の間に立つことが苦にならない人が向いています。

まとめ

上流工程がつまらないと感じるのは、仕事の喜びの形が変わったからです。面白さに触れる工夫をしたうえで、自分に合う道を選びましょう。

  • つまらなさを、手応え・調整と資料・時間・判断の4つに分ける
  • 上流工程の面白さは、課題を解き、形を決めるところにある
  • 資料は、目的と構成を先に合意して作り直しを減らす
  • 試作や検証で、作る手応えを取り戻す
  • 合わないなら、開発に戻るのも経験を活かした選択

まずは、次に作る資料の目的と構成を、作り始める前に上司と合わせるところから始めてください。作り直しが減った分の時間を、課題を考える仕事に使っていきましょう。

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