読者の方ITコンサルは年収が高いと聞いて転職しましたが、思ったほど上がりません。何年か働いていますが、このままでいいのか不安です。



ITコンサルの年収は、会社の種類と役職で大きく変わります。上がらない理由を分けると、社内で上げる道と、会社を変えて上げる道のどちらが近いかが見えてきますよ。
ITコンサルは、年収の高い職種として知られています。しかし実際には、「入社したときから年収がほとんど変わらない」「同じ職種の友人と比べて低い」と感じる人も少なくありません。ITコンサルの年収は、職種名ではなく、所属する会社の種類、役職、担当する仕事の上流度で大きく変わるためです。
結論から言うと、ITコンサルの年収が上がらない理由は「会社の給与の水準」「昇格が止まっている」「担当する仕事が下流寄り」「成果が評価に結びついていない」の4つです。昇格の基準を確かめて足りない力を補う、上流の仕事に関わる、成果を評価の言葉で伝える、の3つで社内での年収は上げられます。会社の水準そのものが低い場合は、転職が最も効果の大きい方法です。
この記事では、ITコンサルの年収が上がらない理由、会社の種類ごとの年収の違い、社内で年収を上げる方法、転職で上げる方法、そして年収だけで判断しないための考え方を説明します。
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ITコンサルの年収が上がらない、4つの理由
まず、年収が伸びない原因を整理します。
| 理由 | よくある状況 | 変えられる余地 |
|---|---|---|
| 会社の給与の水準 | 同じ役職でも、会社によって年収に大きな差がある | 小さい。転職で変える |
| 昇格が止まっている | 同じ役職のまま数年が過ぎ、昇給の幅が小さい | ある。昇格の基準を確かめて補う |
| 担当する仕事が下流寄り | システムの導入の支援やPMOの作業が中心 | ある。戦略や企画に近い仕事に関わる |
| 成果が評価に結びついていない | 顧客からの評価はあるが、社内の評価に反映されない | ある。評価の基準に沿って成果を伝える |
1つ目の会社の水準は、個人の努力で変えにくい部分です。一方、残りの3つは、社内での動き方で変えられます。自分の状況がどれに当てはまるかを確かめてください。
ITコンサルの年収は、役職で決まる面が大きい
多くのコンサルティング会社では、年収は役職ごとの幅で決まっています。同じ役職の中での昇給は小さく、大きく年収が上がるのは昇格のときです。年収が上がらないと感じたら、まず自分がいまの役職に何年いるのか、次の役職に上がる条件は何かを確かめることが大切です。
会社の種類によって、年収は大きく違う
ITコンサルと一口に言っても、所属する会社の種類によって年収の水準は大きく異なります。
| 会社の種類 | 年収の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| 外資系や大手の総合コンサルティング会社 | 高い | 役職ごとの年収の幅が大きく、昇格すると大きく上がる |
| 戦略系のコンサルティング会社 | 非常に高い | 求められる水準が高く、仕事も厳しい |
| 国内の大手SIerのコンサルティング部門 | 中程度から高め | 安定しているが、昇給は緩やか |
| 中小のITコンサルティング会社 | 中程度 | 会社によって差が大きい |
| SIerやSESの「コンサル」職 | やや低めから中程度 | 実態はPMOや導入の支援が中心のことも多い |
数字は会社や時期によって変わりますが、同じ「ITコンサル」でも、所属する会社によって年収に数百万円の差がつくことは珍しくありません。いまの年収が低いと感じるなら、まず会社の水準を確かめることが第一歩です。



いまの会社は、SIerのコンサル部門です。



それなら、会社の水準の影響も大きいかもしれません。社内で上げる余地と、転職した場合の相場を、両方調べておくと判断しやすくなりますよ。
自分の会社の水準を確かめるには、同じ役職の求人の年収の幅を、複数の転職サイトで見比べるのが手軽です。
役職ごとの年収の目安と、求められること
コンサルティング会社では、役職ごとに求められる役割と年収の幅が決まっています。一般的な目安を整理します。
| 役職の目安 | 主な役割 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| アナリスト | 調査、資料の作成、会議の記録 | 450万〜600万円 |
| コンサルタント | 担当範囲の分析と提案、顧客の担当者との調整 | 600万〜850万円 |
| シニアコンサルタント | チームの一部をまとめ、顧客の管理職への報告を担う | 800万〜1,100万円 |
| マネージャー | 案件全体の管理、品質の責任、新しい案件の提案 | 1,000万〜1,500万円 |
| それ以上の役職 | 顧客との関係づくり、案件の獲得、組織の運営 | 1,500万円以上 |
数字は大手のコンサルティング会社の一般的な目安で、会社や時期によって変わります。役職が1つ上がるごとに、年収が大きく変わることが分かります。自分がいまどの段階にいて、次に何が求められるかを確かめてください。
同じ役職に長くいるときの注意点
同じ役職に3年以上いる場合は、昇格の基準に届いていない理由を、上司と具体的に話し合うことをおすすめします。会社によっては、一定の年数で昇格できないと、評価が下がったり、退職を促されたりすることもあります。早めに理由を確かめ、足りない経験を補う計画を立ててください。
昇格の基準を確かめ、足りない力を補う
社内で年収を上げるいちばんの近道は、昇格です。
評価の制度の資料や上司への質問で、次の役職に求められる力と実績を確認します。
基準の項目ごとに、いまの自分ができていること、足りないことを整理します。
提案の資料の作成、顧客の管理職との打ち合わせ、後輩の指導など、足りない経験を積める案件を希望します。
基準の項目に沿って、半年ごとに実績をまとめます。
基準に照らして、昇格に値する実績を具体的に伝えます。
昇格の基準を知らないまま働いていると、どれだけ頑張っても、評価される方向とずれてしまいます。基準を知り、そこに向けて経験を積むことが、昇格と年収の上昇への近道です。
基準があいまいな場合は、「次の役職に上がった人は、どんな実績を評価されましたか」と上司に聞くと、具体的な目安が分かります。
上流の仕事に関わり、単価の高い人材になる
担当する仕事が、システムの導入の支援やPMOの作業に偏っていると、年収は上がりにくくなります。
- 顧客の課題を整理し、解決の方向を決める段階の案件を希望する
- 提案の資料の作成に、自分から加わる
- 顧客の管理職や経営層への報告を、担当させてもらう
- 業界や業務の専門の知識を深め、その分野で頼られる存在になる
- 新しい案件を取るための提案に関わる
コンサルティング会社では、顧客に高い価値を示せる人ほど、単価の高い案件に入り、昇格もしやすくなります。5つ目の新しい案件の提案に関わる経験は、上の役職に進むほど重視されます。
専門の分野を持つと、年収は上がりやすい
特定の業界や、クラウド、データ活用、セキュリティなどの分野に詳しいコンサルタントは、その分野の案件で指名されやすくなり、評価と年収も上がりやすくなります。担当してきた案件の中から、自分が深めたい分野を1つ決め、学習と経験を集中させてみてください。
1つでも当てはまるなら、一度相談しておくと安心です
- 今の年収が、同じスキルの人より低い気がする
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成果を、評価の言葉で伝える
顧客から感謝されていても、社内の評価に結びついていなければ、年収は上がりません。
- 顧客からの評価の声を、上司にも共有する
- 担当した案件の成果を、顧客の課題の解決の度合いで示す
- 案件の継続や追加の受注につながった貢献を伝える
- チームの中で担った役割と、後輩の育成の実績を伝える
- 評価の基準の言葉を使って、実績を整理する
評価の面談では、「頑張りました」ではなく、「顧客の業務の課題を整理し、次の段階の案件の受注につながった。その過程で、顧客の部長への報告を担当した」のように、基準に沿った実績を具体的に伝えることが大切です。
顧客の声は、すぐに記録する
顧客から「この整理のおかげで判断できた」「次の段階もお願いしたい」といった声をもらったら、日付と内容をすぐに記録しておきましょう。評価の時期に思い出そうとしても、具体的な言葉は残っていません。記録した声は、上司への報告や、評価の面談での大切な根拠になります。
年収の交渉の、進め方
社内で年収を上げるには、評価の面談の場で、根拠を持って交渉することが大切です。
- 評価の時期の前に、半年分の実績を基準の項目ごとに整理する
- 同じ役職の年収の相場を、転職サイトなどで調べておく
- 顧客からの評価や、案件への貢献を具体的に示す
- 次の役職に向けて、どんな役割を担いたいかを伝える
- すぐに上がらない場合は、何ができれば上がるのかを確認する
交渉では、「年収が低い」という不満より、「この役割でこれだけの実績を出したので、次の役職を目指したい」という前向きな伝え方が効果的です。転職の相場を知っていることは、自分の価値を客観的に知るための材料として使い、脅しのように伝えることは避けましょう。



年収の話を上司にするのは、気まずいです。



その気持ちは分かります。年収そのものより、昇格の基準と次の役割の話から入ると、自然に話しやすくなりますよ。
転職で、年収を上げる方法
会社の給与の水準が低い場合は、転職が最も効果の大きい方法になります。
| 転職の方向 | 年収への影響 | 注意点 |
|---|---|---|
| 同じ役職で、水準の高い会社に移る | 役職を変えずに年収が上がることがある | 求められる仕事の水準も上がる |
| 上の役職として採用される | 経験を評価され、昇格と同じ効果が得られる | 期待に応えられないと、評価が厳しくなる |
| 事業会社のIT戦略やDXの部門に移る | 会社によっては年収が上がり、働き方も安定する | コンサルの時より年収が下がる会社もある |
| フリーランスのコンサルタントになる | 単価の多くが収入になる | 案件の確保と、自分での手続きの負担がある |
転職で年収を上げるには、いまの会社でどんな課題を解決し、どんな役割を担ってきたかを、具体的に説明できることが欠かせません。コンサルタントの転職に詳しい転職エージェントに相談すると、自分の経験での年収の相場を知ることができます。
面接で、年収の希望を伝えるときは
希望の年収は、いまの年収だけでなく、担ってきた役割と、転職先で担いたい役割をもとに伝えます。「現職ではシニアコンサルタントとしてチームの一部をまとめてきました。御社でも同じ役割を担い、その水準の年収を希望します」のように、役割と年収を結びつけて伝えると、根拠のある希望として受け止めてもらえます。
「コンサル」の名前だけの職場に、注意する
求人に「ITコンサルタント」と書かれていても、実際の仕事がコンサルティングとは言いにくい職場もあります。こうした職場では、年収が上がりにくい傾向があります。
- 仕事の中心が、顧客先での資料の作成や会議の記録になっている
- 顧客の課題の整理や提案に、ほとんど関わらない
- 契約の形が、実質的に作業の時間の提供になっている
- 役職ごとの役割や、昇格の基準が決まっていない
- 社内にコンサルタントとして育成する仕組みがない
当てはまる項目が多い場合は、いまの職場で年収を大きく上げるのは難しい可能性があります。ただ、その環境でも、課題の整理や提案に関わる経験を少しでも積んでおくと、転職のときに評価される材料になります。
年収だけで判断しないために
年収を上げることは大切ですが、年収だけで働く場所を選ぶと、後悔につながることもあります。
- 年収が高い会社は、求められる水準と労働時間も厳しいことが多い
- 昇格が早い会社は、評価に届かないと退職を促されることもある
- 担当する業界や仕事の中身が、自分の関心に合っているか
- 数年後に、どんな経験と年収の伸びが見込めるか
- 家族や健康など、生活とのバランスがとれるか
いまの年収に不満がある場合も、5年後、10年後にどんな経験を積み、どんな働き方をしていたいかを考えたうえで判断してください。年収の伸びしろは、今の数字だけでなく、積める経験によって決まります。
迷ったときは、年収、積める経験、働き方の3つに点数をつけて、候補の会社を比べてみると、自分が何を優先したいのかがはっきりします。
職務経歴書で、年収に効く経験を伝える
転職で年収を上げるには、職務経歴書でコンサルタントとしての価値を具体的に伝えることが欠かせません。
書くときは、顧客の業界と規模、案件の目的、自分の役割、成果の4つを入れます。たとえば、「従業員約5,000人の製造業の顧客で、基幹システムの刷新の構想策定を担当。現行の業務の課題を整理し、刷新の方針と投資の計画を経営層に提案。構想の承認後、導入の段階の案件の受注につながった。チームでは3人のメンバーの作業を管理」のように書きます。
案件の数を並べるより、どんな課題を、どの立場で、どう解決したかを深く書いたほうが、上の役職での採用につながりやすくなります。守秘の義務があるため、顧客の名前は出さず、業界と規模で表現してください。
年収を上げるための、1年の計画
年収を上げる取り組みは、1年ほどの計画にすると進めやすくなります。最初の3か月で、昇格の基準と自分との差を整理し、上司と共有します。次の3か月で、足りない経験を積める案件や役割を希望し、実績を記録し始めます。後半の6か月では、提案や管理職への報告などの経験を重ね、評価の面談で基準に沿った実績を伝えます。
並行して、転職の相場も調べておきましょう。1年後の評価で昇格や年収の見直しがなければ、いまの会社の水準では上がりにくいと判断し、転職を具体的に考える段階です。
よくある質問
- ITコンサルは年収が高いのではないですか
-
会社の種類と役職によって大きく違います。同じITコンサルでも、所属する会社によって年収に大きな差があります。
- ITコンサルの年収を上げるにはどうすればいいですか
-
昇格の基準を確かめて足りない経験を積む、上流の仕事に関わる、成果を評価の言葉で伝える、の3つが社内での基本です。
- 転職すると年収は上がりますか
-
会社の給与の水準が低い場合は、水準の高い会社への転職で上がることがあります。求められる仕事の水準も上がる点に注意してください。
- 同じ役職のまま年収が上がりません
-
多くの会社では、年収が大きく上がるのは昇格のときです。次の役職の基準と、自分に足りない経験を確認しましょう。
- 年収だけで転職先を選んでもいいですか
-
求められる水準、労働時間、積める経験、生活とのバランスもあわせて考えることをおすすめします。
まとめ
ITコンサルの年収が上がらないのは、会社の水準、昇格、仕事の上流度、評価の伝え方に理由があります。
- 上がらない理由を、会社の水準・昇格・仕事の上流度・評価の4つに分ける
- 昇格の基準を確かめ、足りない経験を取りに行く
- 上流の仕事や提案に関わり、単価の高い人材を目指す
- 成果は、評価の基準の言葉で伝える
- 会社の水準が低いなら、転職が最も効果の大きい方法
まずは、次の役職に上がるための基準を確かめ、自分に足りない経験を1つ書き出すところから始めてください。何を積めばよいかが分かると、年収を上げる道筋がはっきりします。
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