SESに将来性はあるのか|残る仕事と、いま積んでおきたい経験

読者の方

SESで働いていますが、このまま続けて将来があるのか不安です。SESに将来性はあるのでしょうか。

ぼく

SESという働き方がなくなる心配は小さいです。ただ、同じ仕事を続けるだけだと、年齢とともに選べる案件が減っていきます。何を積み上げるかで、将来は大きく変わりますよ。

「SESは将来性がない」という声は、ネットでよく見かけます。一方で、IT人材は足りないと言われ続けており、SESの求人も多く出ています。どちらの話も正しく、分かれ目は業界全体の先行きではなく、自分がどんな経験を積んでいるかにあります

結論から言うと、SESという業態は今後も残ります。ただし、テストや運用の定型作業は、自動化や海外への委託で減っていく可能性があります。上流の工程、特定の技術の専門性、顧客との調整の経験のどれかを積めている人は、SESでも移った先でも将来の選択肢を持てます。

この記事では、SESの将来性を業界と個人の2つの面から整理し、将来が不安になりやすい人の特徴、年代ごとに積んでおきたい経験、SESを続ける場合と離れる場合の判断の基準を説明します。

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目次

SESという業態が、なくならない理由

まず、業界全体として見た場合の将来性を確認します。

理由内容
IT人材が足りない企業のシステム化は続き、社内だけで技術者をそろえるのは難しい
必要な期間だけ人を確保したい開発の山と谷に合わせて、外部の人材で調整したい企業は多い
採用の手間を減らしたい正社員を採る手間や費用をかけずに、経験者を確保できる
専門の技術を短期で使いたい特定の製品や技術に詳しい人を、必要な期間だけ入れたい

企業がシステムを使い続ける限り、外部の技術者を活用する仕組みは残ります。SESという働き方そのものが急になくなる心配は、小さいと考えてよいでしょう。

それでも「将来性がない」と言われる理由

業態が残ることと、そこで働く一人ひとりの将来が明るいことは別の話です。SESでは、案件を自分で選べない、担当する工程が固定されやすい、評価が給与に反映されにくいといった理由から、経験が積み上がらないまま年齢を重ねてしまう人がいます。「将来性がない」という声の多くは、この個人の側の問題を指しています。

SESの市場で、いま起きている変化

近年は、企業が自社の中に開発の部門を作る動きが広がっています。これまで外部に任せていた開発を社内で行う企業が増えると、SESに求められる役割も変わります。単に人数をそろえるための要員ではなく、社内の技術者と一緒に動ける経験者や、特定の分野に詳しい人が求められやすくなっています。

また、発注する企業の側でも、商流の深い契約を見直す動きがあります。間に入る会社が多いほど費用がかさみ、現場との情報のやりとりも遅くなるためです。今後は、元請けに近い立場の会社や、技術力を強みにするSES会社のほうが、案件を確保しやすくなると考えられます。

今後、減っていく可能性がある仕事

SESの案件の中でも、需要が変わりそうな仕事と、残りそうな仕事があります。

仕事の種類今後の見通し理由
手順どおりのテスト減る可能性があるテストの自動化が進んでいる
定型の監視・運用減る可能性がある監視の仕組みや自動対応が広がっている
決まった仕様のプログラム作成求められる内容が変わるAIによる作成の補助が広がっている
要件の整理・設計残りやすい顧客との調整と判断が必要
クラウドや基盤の構築需要が続きやすい移行や見直しの案件が多い
プロジェクトの管理・調整残りやすい人と人の間の判断が中心

減る可能性がある仕事を担当しているからといって、すぐに仕事がなくなるわけではありません。ただ、同じ作業だけを続けていると、数年後に選べる案件の幅が狭まるおそれがあります。

読者の方

いまはテストの担当なので、少し焦ります。

ぼく

焦る必要はありません。テストの経験は、設計や品質管理につながる入口です。次に何を積むかを決めることが大切ですよ。

SESで将来が不安になりやすい人の特徴

同じSESで働いていても、将来に不安を感じやすい人には共通点があります。

  • 数年間、同じ工程だけを担当している
  • 職務経歴書に書ける成果が思い浮かばない
  • 使っている技術が、ほかの現場ではあまり使われていない
  • 自分の単価や評価の基準を知らない
  • 案件の希望を自社に伝えたことがない

3つ以上当てはまる場合は、いまのうちに経験の積み方を見直したほうがよい状態です。どれも、今日から変え始められる項目です。

年齢とともに、求められる経験が変わる

20代のうちは、経験が浅くても伸びしろを見込んで案件に入れてもらえます。30代になると、担当できる工程や、リーダーとしての経験を問われるようになります。40代以降は、特定の分野の専門性か、チームをまとめる力のどちらかがないと、条件のよい案件に入りにくくなります。

不安を感じたときに、まず確かめたい数字

将来が不安なときは、気持ちだけで判断せず、いくつかの数字を確かめると状況が見えてきます。自分の単価、この2年間の年収の変化、担当した工程の数、参加したチームの人数の4つです。単価と年収が上がっていて、担当の幅も広がっているなら、いまの環境で経験は積み上がっています。どれも変わっていないなら、積み方を変える時期に来ています。

年代別に、積んでおきたい経験

将来の選択肢を残すために、年代ごとに意識したい経験を整理します。

年代積んでおきたい経験目安
20代前半開発とテストの基本、報告と相談の習慣一人で任された作業を最後まで仕上げる
20代後半設計の一部、小さなチームのまとめ役後輩に作業を教えた経験を持つ
30代要件の整理、顧客との調整、リーダーの経験数人のチームで工程の責任を持つ
40代以降特定分野の専門性か、プロジェクトの管理自分の名前で指名される分野を持つ

表の目安は、必ず達成しなければならないものではありません。いまの自分がどの段階にいるかを確かめ、次に積む経験を1つ決めるための材料として使ってください。

1つでも当てはまるなら、一度相談しておくと安心です

  • 今の年収が、同じスキルの人より低い気がする
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SESで将来性のある経験を積む方法

SESの中でも、経験の積み方は変えられます。

自分の経験を書き出す

これまでの案件で、担当した工程、使った技術、規模、成果を一覧にします。

次に積みたい経験を決める

上流工程、特定の技術、リーダーのどれを伸ばすか、1つに絞ります。

自社に希望を伝える

評価面談や案件の切り替えの前に、希望する経験を具体的に伝えます。

現場で役割を広げる

いまの現場で、設計の相談に加わる、手順書を整えるなど、担当の外側にある仕事を引き受けます。

半年ごとに見直す

書き出した一覧を更新し、積み上がっているかを確かめます。

3つ目の「希望を伝える」をしていない人は多くいます。自社の営業担当は、希望を知らなければ、空いている案件に人を当てはめるしかありません。伝えるだけで、次の案件の選ばれ方が変わることがあります。

希望は「上流をやりたい」だけでなく、「次の案件では、基本設計の一部を担当したい」のように、工程と役割まで具体的に伝えると通りやすくなります。

現場で、役割を広げるための具体的な動き

担当の外側にある仕事は、小さなものから引き受けると始めやすくなります。たとえば、テストの担当なら、見つかった不具合の傾向をまとめて設計の担当者に共有する。開発の担当なら、仕様で分かりにくい点を整理して質問の一覧を作る。運用の担当なら、よく起きる問い合わせの対応を手順書にする。

こうした仕事は、頼まれていなくても現場の役に立ちます。続けていると、設計の打ち合わせに呼ばれる、リーダーの補佐を任されるなど、次の役割につながるきっかけが生まれます。

伸ばす技術を選ぶときの考え方

技術を学ぶなら、流行だけでなく、案件の数と自分の経験のつながりで選ぶのが効率的です。

  1. いまの現場で使っている技術を深める
  2. 求人や案件で名前をよく見る技術を選ぶ
  3. クラウドやデータベースなど、多くの案件に共通する土台を学ぶ
  4. 資格は、学んだことを示す手段として使う

まったく関係のない技術を一から学ぶより、いまの経験を広げる方向で選ぶほうが、案件で使う機会を得やすくなります。使う機会があれば、実務の経験として職務経歴書に書けます。

SESを続けるか、離れるかの判断

将来のためにSESを離れるべきかどうかは、いまの会社で経験を積めるかどうかで判断します。

状態おすすめの判断
希望を伝えると、案件や役割に反映されるSESを続けながら、経験を積み増す
希望は聞いてもらえるが、反映されるまで時間がかかる期限を決めて様子を見る
希望を伝えても、同じ工程の案件が続くSESの別の会社か、ほかの働き方を考える
単価や評価の仕組みが説明されない会社を変える準備を始める

SESという働き方が悪いのではなく、経験を積ませる仕組みがない会社にいることが、将来の不安の原因になっている場合が多くあります。

離れると決める前に、試しておきたいこと

会社を変える前に、いまの会社でできることを一度は試しておくと、後悔が少なくなります。希望する経験を具体的に伝え、次の案件の切り替えまで待ってみる。評価面談で、単価と評価の基準の説明を求める。資格の支援制度があれば使ってみる。

それでも何も変わらなければ、会社を変える判断に迷いがなくなります。試した内容は、転職の面接で「なぜ移りたいのか」を説明するときの、筋の通った理由にもなります。

SESから移る場合の、主な選択肢

SESの経験は、多くの職種で活かせます。

移り先活かせる経験向いている人
元請けのSIer複数の現場を知っていること、調整の経験上流の工程に進みたい人
自社開発の企業開発の実務と技術の経験一つのサービスを長く育てたい人
社内SE業務システムの運用と、現場との調整の経験腰を据えて働きたい人
ITコンサル顧客の課題を整理した経験提案や分析に関わりたい人

移り先によって、評価される経験は異なります。自分が積んできた経験が、どの移り先で強みになるかを確かめてから動くと、年収や役割の面でも納得のいく移り方になります。

将来の不安を、行動に変えるために

将来性の不安は、考え続けるだけでは小さくなりません。今月できる小さな行動に置き換えることが大切です。

  • これまでの案件を、工程と技術と成果で書き出す
  • 次に積みたい経験を1つ決める
  • 自社の担当者に、次の案件の希望を伝える
  • 転職サイトで、自分の経験に合う求人の条件を見てみる

4つ目は、転職を決めていなくても役立ちます。求人の条件を見ると、いまの自分の経験がどう評価されるか、何が足りないかが具体的に分かります。

SESの中でも、将来性のある会社の見分け方

SESを続ける場合でも、会社によって積める経験は大きく違います。会社を選ぶときは、次の点を確認してください。

  • 元請けや一次請けの案件の割合が高い
  • 社員の希望を案件の選び方に反映する仕組みがある
  • 単価と評価の基準を社員に説明している
  • 研修や資格の支援が、実際に使われている
  • 同じ現場に長く固定されず、経験を広げる異動の実例がある

面接では、「入社3年目の社員は、どんな工程を担当していますか」と聞くと、その会社で積める経験の具体的な姿が見えてきます。答えが具体的な会社ほど、社員の経験を計画的に積ませていると考えられます。

読者の方

会社によって、そんなに違うんですね。

ぼく

違います。同じSESでも、経験が積み上がる会社と、同じ作業を続けさせる会社があります。将来性は業界より会社で決まる面が大きいんです。

将来に向けて、職務経歴書を育てておく

将来の選択肢を残すためには、職務経歴書を転職のときだけ書くのではなく、日ごろから更新しておくことが役立ちます。案件が終わるたびに、担当した工程、使った技術、チームの規模、自分が工夫したことと結果を書き足していきましょう。

書くときは、「テストを担当」だけでなく、「300件の試験項目を作成し、不具合の傾向を分析して設計の見直しにつなげた」のように、何をどれだけ行い、どうなったかまで書きます。具体的に書けない案件が続いているなら、それ自体が、経験の積み方を見直す合図です。

職務経歴書が育っていくと、自社との面談でも、案件の希望を伝える材料として使えます。転職をするかどうかにかかわらず、自分の経験を客観的に見るための記録として続けてください。

将来の不安に振り回されないための、心の持ち方

ネットでは「SESは将来性がない」という強い言葉が目に入りやすく、不安ばかりが大きくなることがあります。ただ、そうした意見の多くは、個別の経験や一部の会社の話をもとにしています。

大切なのは、業界全体の話と自分の状況を分けて考えることです。自分がどんな経験を積み、どんな希望を持ち、いまの会社でそれが実現できるのか。この3つを確かめれば、次に何をすればよいかは自分で決められます。不安を感じたときこそ、書き出して、確かめて、小さく動くことを意識してください。

家族や生活を考えたときの、将来の備え

将来の不安には、仕事の中身だけでなく、収入や働き方の安定も含まれます。結婚や子育て、住まいの購入など、生活の予定がある人は、その時期から逆算して経験を積む計画を立てておくと安心です。

たとえば、数年後に家族の事情で残業や出張を減らしたいなら、その前に社内SEや自社開発など、働き方を選びやすい職種へ移れる経験を積んでおく。収入を上げたいなら、上流の工程やリーダーの経験を優先する。生活の予定と仕事の経験を結びつけて考えることで、将来への備えが具体的になります。

よくある質問

SESはなくなりますか

企業が外部の技術者を活用する仕組みは今後も残るため、業態がなくなる心配は小さいと考えられます。

SESで40代以降も働けますか

働けます。ただし、特定分野の専門性か、チームをまとめる経験がないと、条件のよい案件に入りにくくなります。

AIの広がりでSESの仕事は減りますか

定型の作業は減る可能性があります。要件の整理や調整など、判断を伴う仕事は残りやすいと考えられます。

SESから転職するのに有利な経験は何ですか

上流の工程、リーダーの経験、クラウドなど需要の多い技術の経験は、多くの移り先で評価されます。

SESを続けるか迷っています

希望を伝えて案件や役割に反映されるかを基準にしてください。反映されない状態が続くなら、会社を変えることも考えましょう。

まとめ

SESという業態は残りますが、将来の選択肢を持てるかどうかは、自分が積む経験で決まります。

  • SESの業態がなくなる心配は小さい
  • 定型の作業は減る可能性があり、同じ工程だけを続けるのは注意
  • 年代ごとに、積んでおきたい経験を意識する
  • 希望は工程と役割まで具体的に自社へ伝える
  • 経験を積ませる仕組みがない会社なら、移ることも考える

まずは、これまでの案件を書き出して、自分がどんな経験を積んできたかを確かめるところから始めてください。次に積む経験が決まれば、将来の不安は具体的な行動に変わります。

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