読者の方SESで働き始めましたが、契約の仕組みがよく分かりません。急に契約が切れたら、仕事や給料はどうなるのでしょうか。



SESの契約は、会社同士の契約と、自分と自社の雇用契約の2つに分かれています。どちらの話かを分けて考えると、不安の正体がはっきりしますよ。
SESで働く人が抱える不安の多くは、契約の仕組みが見えにくいことから生まれます。常駐先から「来月で終わりです」と言われたらどうなるのか、待機になったら給料は出るのか、偽装請負と言われる状態に自分が当てはまっていないか。こうした不安は、契約の種類と、自分の雇用の形を確かめるだけで、かなりの部分が解消できます。
結論から言うと、SESで働く人を守るのは、常駐先との契約ではなく、自分と自社との雇用契約です。正社員として雇われていれば、常駐先との契約が終わっても、原則として給料は払われます。不安なときは、雇用契約書と就業規則で「待機中の給与」「契約終了時の扱い」を確認してください。
この記事では、SESの契約の仕組み、よくある不安とその確かめ方、偽装請負の見分け方、待機になったときの扱い、そして契約の面で安心できる会社の選び方を説明します。
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SESの契約は、2つの層に分かれている
最初に、SESで働く人に関わる契約を整理します。混同されやすいのが、会社同士の契約と、自分の雇用契約です。
| 契約 | 結ぶ人 | 決まること | 自分への影響 |
|---|---|---|---|
| 準委任の契約(SES契約) | 常駐先と自社(間に別の会社が入ることもある) | 作業の内容、期間、単価、作業時間の幅 | どの現場で、いつまで働くか |
| 雇用契約 | 自分と自社 | 給与、勤務時間、休日、雇用の期間 | 給料や身分がどう守られるか |
常駐先との契約が終わるのは、会社同士の契約の話です。自分が自社に正社員として雇われていれば、雇用契約は続きます。この2つを分けて考えることが、不安を整理する第一歩です。
準委任の契約とは、どういうものか
SESで一般的な準委任の契約は、決められた作業を行うことに対して報酬が払われる契約です。完成した成果物に責任を負う請負の契約とは異なり、作業の時間と内容に対して対価が発生します。そのため、月の作業時間に上限と下限を決め、その範囲を超えたり下回ったりした場合に、単価を調整する精算の仕組みがよく使われます。
また、準委任の契約では、作業の進め方や勤務の指示は、雇っている自社が行うのが本来の形です。常駐先の担当者は、自社を通じて依頼を出す立場になります。
SESで働く人が、契約について抱きやすい不安
よく聞かれる不安を、何を確かめれば解消できるかとあわせて整理します。
| 不安 | 確かめること | 確認する書類 |
|---|---|---|
| 契約が急に切れたら、給料はどうなるか | 待機中の給与の扱い | 雇用契約書、就業規則 |
| 契約社員で、案件と一緒に雇用も終わらないか | 雇用の期間と更新の条件 | 雇用契約書 |
| 常駐先の指示で働いていて、問題はないか | 指示の流れが契約どおりか | SES契約の内容、自社の説明 |
| 作業時間が精算の幅を超えたら、残業代は出るか | 自分の勤怠と給与の計算方法 | 給与明細、就業規則 |
| 自分の単価を教えてもらえない | 評価と給与の決め方 | 評価制度の資料 |
多くの不安は、手元の書類を読み直すことで答えが見つかります。書類が手元にない場合は、自社の人事や担当者に写しをもらってください。
契約が終わるときに、起きること
常駐先との契約は、プロジェクトの終了、予算の削減、体制の見直しなど、本人の評価とは関係のない理由で終わることもよくあります。
多くの場合、常駐先から自社に、1〜2か月前に更新しない旨が伝えられます。
自社の営業担当が、本人の経験や希望に合う案件を探します。
常駐先での作業を、後任や社員に引き継ぎます。
次の案件がすぐに決まれば移り、決まらなければ一時的に待機になります。
契約の終了は、SESでは珍しいことではありません。終了の連絡が来たら、自社の担当者に、次の案件の見通しと、決まらなかった場合の扱いを早めに確認しましょう。



契約が終わるのは、自分の評価が低いからだと思っていました。



そういう場合もありますが、多くは常駐先の事情です。落ち込むより、次の案件の希望を伝えるチャンスと考えてください。
契約終了の連絡を受けたら、すぐにやること
まず、終了の時期と理由を自社の担当者に確認します。理由が自分の働き方にある場合は、具体的に何が求められていたのかを聞いておくと、次の現場で活かせます。次に、次の案件で担当したい工程や技術を伝えます。最後に、これまでの作業の内容と成果を書き出しておきましょう。次の案件の面談で、そのまま説明の材料になります。
待機になったときの、給料の扱い
次の案件が決まらない期間を、待機と呼びます。待機中の給与の扱いは、会社によって違いがあります。
| 雇用の形 | 待機中の給与の一般的な扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 正社員 | 通常の給与が払われる会社が多い | 一部を減らす規定がないか、就業規則を確認する |
| 契約社員 | 雇用の期間中は給与が払われるのが原則 | 案件の終了と同時に雇用期間が終わる契約になっていないか確認する |
| 案件ごとの雇用 | 案件が終わると雇用も終わることがある | 雇用の安定という面では不安が大きい |
会社の都合で働けない場合、休業手当として平均賃金の6割以上を払うことが法律で求められています。ただ、実際に満額が払われるか、減額されるかは会社の規定によって異なります。入社前か、いまのうちに確認しておくと安心です。
この記事は一般的な仕組みの説明です。給与の未払いや、雇用の打ち切りに関する具体的な判断は、労働基準監督署や弁護士などの専門の窓口に相談してください。
偽装請負に当てはまらないか、確かめる方法
SESで働く人が不安に感じやすいのが、偽装請負と呼ばれる状態です。形の上では準委任や請負の契約なのに、実際には常駐先が直接指示を出し、派遣と同じ働き方になっている状態を指します。
- 常駐先の担当者から、作業の割り振りや進め方を直接指示されている
- 常駐先が、勤務時間や休憩、残業を直接管理している
- 常駐先の社員と同じように、朝会や評価の対象になっている
- 自社の担当者が、現場の状況をほとんど把握していない
- 常駐先の都合で、急な休日出勤や残業を命じられる
当てはまる項目が多いほど、契約の形と実態がずれている可能性があります。ただし、問題の責任を負うのは、本人ではなく契約を結んでいる会社側です。気づいた場合は、自社の担当者に状況を伝えてください。
現場で、自分を守るための動き方
常駐先の担当者から直接指示を受けたときは、「自社のリーダーに確認します」と答え、自社を通すようにします。常駐先に自社のリーダーがいない場合は、指示の内容と日付をメモに残し、自社の担当者に定期的に報告しましょう。記録があれば、後で問題になったときにも、自分が契約に沿って動こうとしていたことを示せます。
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SESと派遣、請負の違いを押さえておく
自分の働き方が契約のどれに当たるのかを知っておくと、現場で困ったときに判断しやすくなります。
| 契約の形 | 作業の指示を出す人 | 働く人の雇い主 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 準委任(SES) | 自社 | 自社 | 作業の時間と内容に対して報酬が払われる |
| 派遣 | 派遣先の企業 | 派遣会社 | 派遣先が直接指示できるが、期間などの決まりがある |
| 請負 | 自社 | 自社 | 成果物の完成に責任を負う |
派遣では、派遣先の企業が直接作業を指示できますが、そのための許可や、同じ職場で働ける期間の決まりがあります。SESで常駐先が直接指示を出しているなら、実態は派遣に近く、本来の決まりが守られていない可能性があります。
名前ではなく、実態で判断される
契約書に準委任と書かれていても、実際の働き方が派遣と同じなら、問題とされるのは実態のほうです。自分の毎日の働き方が、誰の指示で動いているのかを振り返ってみてください。
作業時間の精算と、自分の給料の関係
準委任の契約では、月の作業時間に幅を決めることが多く、たとえば140〜180時間のように設定されます。この幅を超えると単価が上がり、下回ると単価が下がる仕組みです。
注意したいのは、この精算は会社同士のお金の話で、自分の残業代とは別に計算されることです。自社との雇用契約では、法定の労働時間を超えた分に残業代が払われるのが原則です。精算の幅に収まっているから残業代が出ない、という説明をされた場合は、就業規則と給与明細で計算の方法を確認してください。



常駐先の作業時間と、自社に出す勤務表の時間が違うことがあります。



それはきちんと合わせてください。ずれていると、働いた分が給料に反映されないおそれがあります。自分でも時間を記録しておくと安心ですよ。
契約の更新の時期に、確認しておきたいこと
常駐先との契約は、3か月や6か月ごとに更新されることが多くあります。更新の時期は、自分の働き方を見直すよい機会です。
- 次の期間も同じ現場で続けるのか、自社の担当者に確認したか
- 担当する作業や役割が変わる予定はあるか
- 作業時間や休日出勤の状況に問題はないか
- 単価の見直しの相談ができる状況か
- 続けたくない場合、その希望を伝えたか
更新の直前に希望を伝えても、調整が間に合わないことがあります。現場を変えたい、役割を広げたいといった希望は、更新の1〜2か月前までに自社の担当者へ伝えておきましょう。



更新のたびに、何も聞かれないまま続いていました。



それはよくあることです。聞かれるのを待たず、自分から確認する習慣をつけると、契約の不安も小さくなりますよ。
入社前に、契約の面で確かめておきたいこと
SESの会社に入る前に確認しておくと、入社後の不安を大きく減らせます。
- 雇用の形が正社員か、契約社員か
- 待機になった場合の給与の扱い
- 案件が終わった後の、次の案件の決め方
- 勤怠の管理と残業代の計算の方法
- 常駐先で困ったときに相談できる自社の担当者がいるか
面接の場で聞きにくいと感じる場合は、内定の後、雇用契約を結ぶ前に確認しても構いません。雇用契約書や労働条件の通知書は、署名する前に必ず読み、分からない点はその場で質問しましょう。
面接で聞きにくいときの、聞き方の例
待遇について聞くと、印象が悪くなると心配する人もいます。その場合は、「長く働きたいので、案件が切り替わる間の働き方について教えてください」のように、前向きな理由を添えて聞くと自然です。答え方が具体的で、書類でも示してくれる会社は、社員への説明を大切にしていると考えられます。
契約の面で、安心できるSES会社の特徴
会社によって、社員を守る仕組みには大きな差があります。次の特徴がそろっている会社は、契約の面での不安が小さくなります。
- 正社員として雇用し、待機中も通常の給与を払っている
- 常駐先に、自社のリーダーや担当者が定期的に訪問している
- 商流が浅く、元請けや一次請けの案件が多い
- 単価や評価の基準を社員に説明している
- 案件の終了や変更について、早めに本人へ共有している
反対に、案件ごとの雇用、待機中の給与の減額が大きい、自社の担当者と連絡がつきにくい、といった会社は注意が必要です。
いまの会社に不安があるときの、相談の順番
契約について疑問を感じたら、次の順番で相談先を広げていきます。
まずは現場を担当する営業やリーダーに、書類と事実をもとに確認します。
担当者で解決しない場合は、人事や管理の部門に相談します。
給与の未払いや、明らかに契約と違う働き方が続く場合は、労働基準監督署などの公的な窓口に相談します。
相談するときは、日付、誰から何を言われたか、どんな影響があったかを記録しておくと、話が進みやすくなります。
契約の不安が消えないなら、働き方を変える選択肢もある
仕組みを確かめても不安が消えない場合や、会社が説明に応じない場合は、働き方そのものを変えることも考えてよいでしょう。
| 移り先 | 契約の面での特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 契約の説明が明確なSES会社 | 待機中の給与や評価の仕組みが整っている | SESの働き方は続けたい人 |
| 元請けのSIer | 自社の社員として、自社の案件を担当する | 常駐先に振り回されたくない人 |
| 自社開発の企業 | 自社のサービスに関わり、指示の流れが単純 | 一つの職場で腰を据えたい人 |
| 社内SE | 雇用している会社のシステムを担当する | 契約の不安から離れたい人 |
移り先を選ぶときも、雇用の形と待遇は必ず確認してください。働く場所が変わっても、自分を守るのは雇用契約であることは同じです。
契約の書類を、手元にそろえておく
契約の不安を感じたときに、すぐ確認できるよう、次の書類を手元に保管しておきましょう。いざというときに探しても見つからない、ということを防げます。
- 雇用契約書または労働条件の通知書
- 就業規則と賃金の規程
- 毎月の給与明細
- 自社に提出した勤務表の控え
- 常駐先での作業時間を自分で記録したメモ
就業規則は、会社が社員に見られる状態にしておく決まりがあります。社内の共有フォルダーなどに置かれていることが多いので、場所が分からなければ人事に聞いてください。
自分で記録するメモは、日付、開始と終了の時刻、休憩の時間、休日出勤の有無を書く程度で十分です。スマートフォンのメモや表計算のファイルに、毎日1行ずつ残しておくと、給与の計算に疑問が出たときの確かな材料になります。書類とメモがそろっていれば、自社に確認するときも、公的な窓口に相談するときも、話がすぐに進みます。
よくある質問
- SESで契約が切れたら、給料は止まりますか
-
正社員として雇われていれば、常駐先との契約が終わっても雇用は続き、原則として給料は払われます。待機中の扱いは就業規則で確認してください。
- 待機中に給料が減らされることはありますか
-
会社の規定によっては減額されることがあります。会社の都合で働けない場合は、休業手当として平均賃金の6割以上を払う決まりがあります。
- 常駐先から直接指示されるのは違法ですか
-
契約の形によっては、偽装請負に当たる可能性があります。責任は会社側にあるため、気づいたら自社の担当者に伝えてください。
- 契約社員のSESは不安定ですか
-
雇用の期間が案件と連動していると、案件の終了とともに雇用も終わることがあります。契約書で雇用期間と更新の条件を確認してください。
- 自分の契約内容を会社に聞いてもいいですか
-
聞いて構いません。雇用契約書や就業規則の写しを求めるのは、働く人として当然のことです。
まとめ
SESの契約の不安は、会社同士の契約と、自分の雇用契約を分けて考えることで整理できます。
- 自分を守るのは、自社との雇用契約
- 常駐先との契約が終わっても、正社員なら雇用は続くのが原則
- 待機中の給与は、就業規則で確認する
- 常駐先から直接指示されたら、自社を通す
- 説明に応じない会社なら、働き方を変えることも考える
まずは、手元の雇用契約書と就業規則を読み直し、待機中の給与と契約終了時の扱いを確認するところから始めてください。答えが分かるだけで、不安は大きく減ります。
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