SAPコンサルがしんどいと感じたら|理由と、負担を軽くする学び方・働き方

読者の方

SAPコンサルとして働いていますが、覚えることが多く、プロジェクトも長くて、正直しんどいです。このまま続けていけるのか不安です。

ぼく

SAPコンサルは、専門性が高く年収も上がりやすい一方で、しんどさを感じやすい仕事です。何がしんどいのかを分けると、乗り越え方も、別の道も見えてきますよ。

SAPコンサルは、企業の会計、販売、購買、生産などの業務をまとめて管理するSAPの製品を、顧客の業務に合わせて導入する仕事です。需要が高く、経験を積むほど年収も上がりやすい職種として知られています。その一方で、業務と製品の両方の知識が求められ、大規模で長期のプロジェクトが多く、稼働の前後には強い負荷がかかるため、「しんどい」と感じる人が少なくありません。

結論から言うと、SAPコンサルがしんどいと感じる理由は「覚える範囲が広い」「プロジェクトが長く重い」「顧客と開発の間で板ばさみになる」「稼働の前後の負荷が大きい」の4つです。担当の分野を絞って深めること、業務の知識を先に固めること、負荷の波を見越して体調を管理することで、しんどさは軽くできます。SAPの経験は市場価値が高いため、働き方を変える選択肢も多く持てます。

この記事では、SAPコンサルがしんどいと感じる理由、しんどさを軽くする方法、向いている人の特徴、キャリアの選択肢、そして続けるか離れるかの判断の基準を説明します。

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目次

SAPコンサルがしんどいと感じる、4つの理由

まず、しんどさの中身を整理します。

理由よくある状況軽くする方向
覚える範囲が広い業務の知識、製品の機能、設定の方法、他の分野とのつながりまで求められる担当の分野を絞り、業務の知識から固める
プロジェクトが長く重い数年に及ぶ導入で、同じ顧客先に長く常駐する区切りごとに成果を確かめ、次の目標を持つ
板ばさみになる顧客の要望と、製品の標準の機能や開発の都合の間で調整する標準の機能に合わせる提案の型を身につける
稼働の前後の負荷が大きいテストや移行、稼働の直後に長時間の対応が続く負荷の波を見越して、体調と生活を整える

4つの理由のうち、どれがいちばん重いかによって、打つ手が変わります。自分の状況に最も近いものを確かめてください。

製品の知識だけでは、仕事が回らない

SAPコンサルのしんどさの根本には、製品の設定を覚えるだけでは足りないという点があります。会計なら会計の、販売なら販売の業務の仕組みを理解していないと、顧客の要望の意味が分からず、適切な設定や提案ができません。製品と業務の両方を同時に学ぶ必要があることが、覚える量を大きくしています。

いちばん重い理由が分かったら、この記事の該当する章から読み進めてください。すべてを一度に解決しようとしなくて大丈夫です。

入社1年目と、数年目で違うしんどさ

SAPコンサルのしんどさは、経験の年数によって中身が変わります。

時期よくあるしんどさ乗り越え方
1年目用語も業務も分からず、会議についていけない業務の流れの図と用語の一覧を作り、分からないことをまとめて聞く
2〜3年目設定を任されるが、他の分野とのつながりで問題が起きる自分の分野の前後の業務と、データのつながりを学ぶ
4〜5年目顧客との調整やチームのまとめを任され、責任が重くなる提案の型と、判断を顧客に委ねる進め方を身につける
それ以降プロジェクトが続き、働き方に疲れる担当の案件や働き方を選び直すことも考える

いまのしんどさが、経験の段階によるものなら、時間とともに和らいでいく部分もあります。自分がどの段階にいるかを確かめ、その段階で身につけるべきことに集中してください。

1年目は、分からなくて当たり前

SAPの導入の現場には、製品の独特な用語、業務の用語、顧客の社内の用語が飛び交います。1年目に分からないことが多いのは当然です。分からない用語はその場でメモし、1日の終わりにまとめて調べる習慣をつけると、3か月ほどで会議の内容が追えるようになります。

担当の分野を絞り、深めていく

SAPの製品は、会計、販売、購買、在庫、生産など、多くの分野に分かれています。

分野必要な業務の知識特徴
会計仕訳、決算、管理会計需要が多く、業務の知識が評価されやすい
販売受注、出荷、請求の流れ顧客の業務との接点が多い
購買・在庫発注、入庫、在庫の管理物流や製造の業務とつながる
生産生産の計画、製造の指示、原価製造業の業務の深い理解が求められる
基盤・技術システムの構成、性能、つなぎ込みインフラや開発の経験が活きる

最初からすべてを理解しようとすると、しんどさは増すばかりです。まず1つの分野を決めて深め、その分野と他の分野のつながりを少しずつ広げていくと、無理なく知識を積み上げられます。

読者の方

会計と販売の両方を担当していて、どちらも中途半端です。

ぼく

どちらかを主の分野に決めて、上司にも伝えておくと、学ぶ順番がはっきりして負担が軽くなりますよ。

資格は、学ぶ範囲を整理するのに使う

SAPの認定の資格は、製品の機能を体系的に学ぶのに役立ちます。業務の知識の面では、会計なら簿記、生産なら生産管理の資格が、顧客との会話の土台になります。資格の学習と、現場で担当している設定を結びつけて学ぶと、理解が早く深まります。

業務の知識を、先に固める

製品の設定より先に、業務の仕組みを理解すると、学習の効率が大きく上がります。

担当分野の業務の流れを図にする

たとえば販売なら、見積もり、受注、出荷、請求、入金の流れを描きます。

業務の用語を覚える

顧客が使う業務の言葉と、その意味を一覧にします。

業務の流れと製品の機能を結びつける

業務の各段階で、製品のどの機能が使われるかを確かめます。

顧客の業務の特徴を把握する

担当する顧客の業務が、一般的な流れとどこが違うかを整理します。

業務の流れが頭に入っていると、顧客の要望を聞いたときに、どの機能で対応できるか、標準の機能から外れるのはどこかを判断しやすくなります。簿記などの業務の資格の学習も、知識を体系的に身につけるのに役立ちます。

業務の流れの図は、プロジェクトが進むたびに書き足していくと、自分だけの業務の地図になっていきます。

顧客と開発の間の、板ばさみを減らす

SAPの導入では、顧客の要望を、製品の標準の機能に合わせるか、追加の開発で対応するかの判断が常に求められます。

  1. 要望の背景にある、業務の目的を確かめる
  2. 標準の機能で目的を満たせる方法を、まず提案する
  3. 追加の開発が必要な場合は、費用、期間、将来の保守の負担を示す
  4. 判断は顧客の責任者に委ね、決まったことを記録する
  5. 開発のチームには、要望の目的も一緒に伝える

「できません」と断るのではなく、「その目的なら、標準の機能でこう実現できます」と代わりの方法を示すことが、板ばさみを減らす鍵です。追加の開発の影響を数字で示すと、顧客も判断しやすくなります。

要望の管理は、一覧で見える化する

顧客の要望は、受け付けた日、内容、目的、標準の機能での対応の可否、追加の開発の要否、判断の結果を一覧で管理しましょう。一覧があると、同じ要望が繰り返されたときにも判断の経緯を示せ、後から「言った、言わない」の食い違いを防げます。

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稼働の前後の負荷に、備える

SAPの導入のプロジェクトでは、テスト、データの移行、稼働の直後に負荷が集中します。

  • プロジェクトの計画から、負荷の高い時期を事前に把握しておく
  • 負荷の高い時期の前に、休みを取り、体調を整えておく
  • 稼働の直後の問い合わせ対応の体制と、交代の順番を決めておく
  • 移行や稼働の手順を、早めに文書にしてチームで確認する
  • 負荷の高い時期が終わったら、意識して休む

負荷の波は、SAPの導入の仕事の性質上、避けられない部分があります。波がいつ来るかを知り、その前後で体調と生活を整えることが、長く続けるための大切な工夫です。

長時間の勤務が続き、眠れない、気持ちが沈むといった状態が続く場合は、無理をせず、上司に相談し、医療機関を受診してください。

稼働の後の、休み方

稼働が落ち着いたら、まとまった休みを取ることをあらかじめ上司と相談しておきましょう。休みの予定が決まっていると、忙しい時期を乗り切る目標にもなります。休みの間は仕事の連絡から離れ、睡眠と生活のリズムを取り戻すことを優先してください。

長期のプロジェクトで、気持ちを保つ工夫

数年に及ぶ導入のプロジェクトでは、ゴールが遠く、同じ現場に長くいることで、気持ちが疲れてしまうことがあります。

  1. プロジェクトの段階ごとに、自分の目標を決める
  2. 設計、テスト、移行など、区切りごとに達成したことを振り返る
  3. プロジェクトの外の勉強会や社内の集まりに、ときどき参加する
  4. 休みの日は、仕事から完全に離れる時間を作る
  5. 数年後のキャリアの目標を、ときどき見直す

長いプロジェクトでは、終わりが見えないことがしんどさを大きくします。区切りごとに小さな達成を確かめることで、前に進んでいる実感を持ちやすくなります。

読者の方

3年目のプロジェクトで、ゴールがまだ遠く感じます。

ぼく

いまの段階で身につけたことを書き出してみると、3年分の成長がはっきり見えますよ。それが次へ進む力になります。

SAPコンサルに、向いている人

しんどさの感じ方は、人によって違います。次の特徴に当てはまる人は、SAPコンサルを続けやすい傾向があります。

  • 業務の仕組みを理解することに、面白さを感じる
  • 細かい設定や、つながりを丁寧に確かめられる
  • 長期のプロジェクトで、腰を据えて取り組める
  • 顧客の要望と現実の間で、落としどころを探すことが苦にならない
  • 専門性を深めて、市場価値を高めたいと考えている

すべてに当てはまる必要はありません。1つでも強く当てはまる項目があれば、それを軸に自分らしい関わり方を見つけられます。

向いている点が見つかったら、その力を活かせる役割を上司に希望してみましょう。

チームで、しんどさを分け合う

SAPの導入は、多くの分野の担当者が関わるチームの仕事です。しんどさを一人で抱え込まず、チームで分け合う工夫をしましょう。

  1. 自分の分野と他の分野のつながりで分からないことは、担当者に早めに聞く
  2. 設定の内容や決まったことを、チームで共有できる場所に残す
  3. 稼働の前後の対応は、交代の順番を決めて一人に集中させない
  4. 先輩のコンサルタントに、同じ苦労をどう乗り越えたかを聞く
  5. 困っていることを、定例の場で素直に伝える

SAPの導入で起きる問題の多くは、分野と分野のつなぎ目で発生します。他の分野の担当者と日ごろから情報を共有しておくと、問題を早く見つけられ、稼働の前の慌ただしさも減らせます。

先輩の知識を、上手に借りる

経験の長い先輩は、似た問題を何度も見てきています。自分で1時間調べて分からないことは、状況と調べたことを整理して聞きましょう。先輩の答えを手順や注意点としてメモに残しておくと、自分だけの知識の蓄えになります。

SAPの経験を活かせる、キャリアの選択肢

SAPの経験は市場価値が高く、しんどさを感じたときに選べる道も多くあります。

選択肢内容働き方の特徴
別のコンサルティング会社のSAPコンサル同じ仕事を、条件や案件の違う会社で続ける案件の規模や働き方を選び直せる
事業会社の社内の担当自社のSAPの運用と改善を担当する常駐や稼働の負荷が減り、働き方が安定しやすい
フリーランスのSAPコンサル案件ごとに契約して働く単価が高い一方、案件の確保が必要
業務改革やERP全般のコンサルSAP以外の製品も含めた業務の見直しを担う業務の知識を広く活かせる

特に事業会社の社内の担当は、SAPの経験を活かしながら、プロジェクトの負荷から離れられる選択肢として人気があります。

事業会社に移るときの注意点

事業会社の社内の担当に移る場合は、SAPの運用が中心なのか、改善や次の導入の計画にも関われるのかを確認してください。運用だけの仕事では、コンサルの頃のような経験の広がりが得にくくなることもあります。働き方の安定と、経験の積み方のバランスを考えて選びましょう。

続けるか、離れるかの判断

しんどさが続くときは、次の点を確かめて、続けるか、働き方を変えるかを考えてください。

  • しんどさの原因が、いまのプロジェクトや顧客に限られているか
  • 担当の分野を絞ったり、学び方を変えたりして、和らぐ見込みがあるか
  • SAPの仕事そのものには、面白さを感じているか
  • 体調や家族との時間に、大きな影響が出ていないか

しんどさがいまのプロジェクトに限られ、SAPの仕事そのものに面白さを感じているなら、案件の変更を希望しながら続ける道があります。仕事そのものにやりがいを感じられず、体調や生活への影響が大きい場合は、事業会社の社内の担当など、経験を活かしながら負荷の少ない働き方を選ぶことも前向きな判断です。

職務経歴書で、SAPの経験を伝える

SAPの経験を転職で活かすには、担当した分野、プロジェクトの規模、工程、自分の役割を具体的に書くことが大切です。

たとえば、「製造業の顧客で、会計の分野の導入を担当。要件定義から設定、テスト、移行、稼働の後の支援までの全工程に参加。顧客の経理部門との要件の調整を担い、標準の機能に合わせる提案で追加の開発を3割減らした」のように書くと、経験の深さと成果が伝わります。担当した製品のバージョンや、稼働の経験の回数も、評価の材料になります。

よくある質問

SAPコンサルはしんどい仕事ですか

覚える範囲の広さ、長く重いプロジェクト、板ばさみ、稼働の前後の負荷から、しんどいと感じる人は多くいます。工夫で軽くすることもできます。

何から勉強すればいいですか

担当の分野を1つ決め、その分野の業務の流れを理解してから、製品の機能と結びつけて学ぶのがおすすめです。

顧客と開発の板ばさみがつらいです

要望の目的を確かめ、標準の機能での代わりの方法を示し、追加の開発の影響を数字で伝えると、調整が進めやすくなります。

SAPコンサルの経験は転職で評価されますか

評価されます。需要が高く、別のコンサルティング会社や事業会社、フリーランスなど、選択肢が多くあります。

しんどくて辞めたいです

体調に影響が出ている場合は休むことを優先してください。そのうえで、事業会社の社内の担当など、経験を活かせる働き方を検討しましょう。

まとめ

SAPコンサルのしんどさには理由があり、学び方と働き方の工夫で軽くできます。経験の市場価値が高いことも、大きな支えになります。

  • しんどさを、範囲の広さ・プロジェクトの重さ・板ばさみ・稼働の負荷に分ける
  • 担当の分野を1つに絞り、業務の知識から固める
  • 要望には、標準の機能での代わりの方法を示す
  • 負荷の波を見越して、体調と生活を整える
  • しんどさが続くなら、経験を活かせる別の働き方も選べる

まずは、担当分野の業務の流れを1枚の図に描くところから始めてください。業務の全体像が見えると、覚えることの整理がつき、しんどさが少し軽くなります。

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