読者の方PMOとして働いて4年になりますが、年収がほとんど上がりません。同じくらいの年次のプロジェクトマネージャーと比べて、差が開く一方です。



PMOは、支援の役割であるぶん、成果が見えにくく、年収が上がりにくい面があります。ただ、上がらない理由を分けると、上げるための動き方ははっきりしていますよ。
PMOは、プロジェクトの進捗や課題、会議の資料、関係者との調整を支え、プロジェクトが計画どおりに進むようにする役割です。大きなプロジェクトには欠かせない存在ですが、判断や責任の中心はプロジェクトマネージャーにあるため、PMOの貢献は評価されにくく、年収が伸び悩むと感じる人が少なくありません。
結論から言うと、PMOの年収が上がらない理由は「事務作業が中心になっている」「成果が数字で見えない」「働き方の形で上限が決まる」「次の役割に進めていない」の4つです。事務作業から、課題の整理や判断の材料づくりへ役割を上げ、成果を数字で示し、商流や雇用の形を見直すことで、年収は上げられます。PMOの経験を土台に、プロジェクトマネージャーやITコンサルへ進む道もあります。
この記事では、PMOの年収が上がらない理由、年収の相場と差がつく要因、いまの職場で上げる方法、働き方や会社を変えて上げる方法、そして次のキャリアへの進み方を説明します。
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PMOの年収が上がらない、4つの理由
まず、年収が伸びない原因を整理します。
| 理由 | よくある状況 | 変えられる余地 |
|---|---|---|
| 事務作業が中心 | 議事録、資料の体裁の調整、進捗の集計ばかり | ある。課題の整理や判断の材料づくりに役割を上げる |
| 成果が数字で見えない | プロジェクトが順調でも、PMOの貢献として見られない | ある。改善の結果を数字で示す |
| 働き方の形で上限が決まる | SESや多重の下請けで、単価のうち手元に届く割合が小さい | ある。商流や雇用の形を見直す |
| 次の役割に進めていない | 何年たっても同じ支援の作業を続けている | ある。担当の範囲を広げ、次の役割を目指す |
4つのうち、自分で変えられないものはありません。いちばん当てはまる理由から手をつけると、効果が出やすくなります。
同じPMOでも、役割の幅は大きく違う
PMOには、会議の準備や資料の作成が中心の事務寄りの役割から、課題の分析や改善の提案、経営層への報告を担う役割まで、幅があります。年収の差は、PMOという名前ではなく、どの役割を担っているかで生まれています。
まずは、自分の1週間の仕事を振り返り、事務作業と、課題の整理や提案の仕事の割合を書き出してみてください。割合が分かると、何を変えればよいかが見えてきます。
PMOの年収の目安と、差がつく要因
PMOの年収は、役割と働き方によって大きく変わります。
| 役割と働き方 | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 事務寄りのPMO(下請けのSESなど) | 350万〜450万円 | 作業の範囲が限られ、単価も低めになりやすい |
| プロジェクトの管理を支えるPMO(SIerの社員など) | 450万〜650万円 | 課題や計画の管理まで担う |
| 戦略に関わるPMO(コンサルティング会社など) | 650万〜1,000万円以上 | 経営層への報告や、複数のプロジェクトの全体の管理を担う |
数字は目安で、会社や地域、経験によって変わります。大切なのは、年収の差が「担う役割」と「どの立場の会社で働くか」の2つで決まっていることです。



いまは議事録と進捗の集計が中心なので、一番下の段にいる気がします。



その経験は土台として大切です。そこから課題の整理や報告の資料づくりに役割を広げると、年収の上がる道が見えてきますよ。
年収が上がりにくいPMOの、共通点
同じPMOでも、年収が上がりやすい人と、上がりにくい人がいます。上がりにくい人には、次のような共通点があります。
- 頼まれた作業を、頼まれたとおりにこなすことが中心になっている
- プロジェクトの目的や、顧客の事業の課題を理解していない
- 会議では記録に徹し、自分の意見を出していない
- 自分の成果を、上司や顧客に伝えていない
- 数年間、同じプロジェクトの同じ作業を続けている
どれも、能力の問題ではなく、仕事への関わり方の問題です。1つずつ変えていくことで、周りからの見られ方と任される役割が変わり、年収にも反映されていきます。



会議では記録に集中していて、発言したことはほとんどありません。



最初は、議論の論点を整理して確認する一言からで十分です。「いまの論点は2つですね」と整理できるPMOは、とても頼りにされますよ。
事務作業から、役割を上げる方法
年収を上げるいちばんの近道は、事務作業から、プロジェクトの判断を支える仕事へ役割を上げることです。
議事録や進捗の集計の手順を見直し、テンプレートや自動化で時間を減らします。
進捗の数字を並べるだけでなく、遅れの原因や、放置すると起きる影響を整理します。
課題に対して、考えられる対策と、それぞれのよい点と注意点を示します。
プロジェクトマネージャーや経営層が判断しやすい形で、短くまとめて報告します。
「集計しました」から「このままでは2週間遅れる見込みです。対策はこの2つです」に変わるだけで、PMOの価値は大きく変わります。判断の材料を作れる人は、事務の担当ではなく、プロジェクトを動かす人として評価されます。
事務作業の効率化で生まれた時間を、課題の整理に使うことがポイントです。作業の量を増やすのではなく、仕事の中身を変えていきましょう。
事務作業を効率化する具体例
議事録は、決まったこと、宿題、期限だけを書く形式にそろえると、作成の時間が大きく減ります。進捗の集計は、各担当者が同じ表に入力する形にすると、転記の手間がなくなります。報告の資料は、毎回同じ構成のテンプレートを用意し、変わった部分だけを更新するようにします。効率化で生まれた時間を、課題の整理に回しましょう。
成果を、数字で示す方法
PMOの貢献は、数字で示さないと評価されにくいものです。
- 会議の時間や回数を、どれだけ減らしたか
- 課題の対応にかかる日数を、どれだけ短くしたか
- 遅れの兆しに早く気づき、影響をどれだけ小さくしたか
- 報告の資料づくりの時間を、どれだけ減らしたか
- プロジェクト全体の進め方の改善で、何が変わったか
評価の面談では、半年分の数字をまとめて示してください。「週5時間かかっていた進捗の集計を1時間にし、空いた時間で課題の管理の仕組みを整えた結果、課題の対応の日数が平均10日から6日になった」のように伝えると、PMOの仕事の価値が具体的に伝わります。
記録は、毎週5分で続ける
成果の数字は、半年後にまとめて思い出そうとしても正確には残っていません。毎週金曜日に5分だけ、その週に改善したこと、かかった時間、関係者の反応をメモしておくと、評価の面談の前に慌てずに資料を作れます。
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顧客やプロジェクトマネージャーからの評価を高める
PMOの年収は、支援している相手からの評価に大きく左右されます。特にSESや業務委託の場合、顧客やプロジェクトマネージャーからの評価が、単価の交渉の材料になります。
- 依頼される前に、必要な資料や情報を準備しておく
- 報告は、結論と判断が必要な点を最初に伝える
- 問題の兆しに気づいたら、早めに共有する
- 関係者の間に入って、話がこじれる前に調整する
- 期限と約束を、確実に守る
「このPMOがいると、プロジェクトが進めやすい」と思ってもらえれば、契約の継続や単価の引き上げ、役割の拡大につながります。評価の声をもらったら、自社の担当者や上司にも伝えておきましょう。
いまの職場で、年収を上げる交渉の仕方
役割を上げ、成果を数字で示せるようになったら、年収の見直しを相談します。
- 自分の役割と、担当している範囲の変化をまとめる
- 成果を数字で示す資料を用意する
- 同じ役割の年収の相場を調べておく
- 評価の面談や、契約の更新の時期に相談する
- すぐに上がらない場合は、何ができれば上がるのかを確認する
SESで働いている場合は、自社の営業担当に、常駐先での評価と役割の変化を伝え、単価の見直しを交渉してもらいます。単価が上がったときに、給与にどれだけ反映されるのかも確認しておきましょう。
交渉のときに、避けたい伝え方
「ほかの人より給料が低い」「生活が苦しい」といった伝え方だけでは、交渉の材料になりません。自分が担っている役割、出した成果、これから担いたい役割の3つを中心に伝えてください。感情ではなく事実で話すほど、相手も上司や会社に説明しやすくなります。
働き方や会社を変えて、年収を上げる方法
いまの職場で上がる余地が小さい場合は、働き方や会社を変えることを考えます。
| 変え方 | 年収への影響 | 注意点 |
|---|---|---|
| 商流の浅い会社に移る | 同じ役割でも、手元に届く金額が増える | 求められる役割の水準も上がる |
| SIerやユーザー企業の社員になる | 昇給や役職の道が見えやすくなる | 社内の調整や、長期の担当が増える |
| コンサルティング会社に移る | 戦略に関わるPMOとして年収の水準が高い | 資料の質や、成果への要求が厳しい |
| フリーランスになる | 単価の多くが収入になる | 案件が途切れる危険と、自分での手続きの負担がある |
どの変え方を選ぶ場合も、いまの職場で課題の整理や改善の成果を積んでおくと、移った先で任される役割と年収の水準が上がります。
転職で年収を上げるときの注意点
年収の高い求人ほど、求められる役割の水準も高くなります。面接では、入社後に担当するのが事務寄りのPMOなのか、課題の管理や報告まで担うPMOなのかを必ず確認してください。年収だけで選ぶと、役割が合わず、結局評価されないという状況になりかねません。
身につけると、年収に効くスキル
PMOの年収を上げるうえで、特に効果の大きいスキルがあります。
| スキル | 年収に効く理由 | 身につけ方の例 |
|---|---|---|
| 課題の分析と提案 | 判断の材料を作れる人は、役割の水準が上がる | 遅れの原因を分析し、対策を2つ以上示す練習をする |
| 報告の資料づくり | 経営層への報告を任されると、評価と年収が上がりやすい | 結論を最初に書く、1枚にまとめる習慣をつける |
| 業務や業界の知識 | 顧客の事業を理解している人は、コンサルティングの役割に進める | 支援している業界の用語や仕組みを学ぶ |
| プロジェクトの管理の知識 | 体系的な知識は、プロジェクトマネージャーを目指す土台になる | プロジェクトの管理の資格の学習を進める |
すべてを一度に身につける必要はありません。いまの役割に近いものから1つ選び、半年ほどかけて実際の仕事で使ってみてください。
学んだスキルを使った場面は、成果の記録と一緒にメモしておくと、評価の面談や転職の面接で具体的に話せるようになります。
PMOの経験を土台に、次の役割へ進む
PMOの経験は、年収の高い役割へ進むための土台になります。
| 次の役割 | PMOの経験が活きる点 | 加えて積みたい経験 |
|---|---|---|
| プロジェクトマネージャー | 計画と課題の管理、関係者の調整 | 自分で判断し、責任を持つ経験 |
| ITコンサル | 課題の整理、報告の資料づくり | 顧客の業務や経営の課題を理解する力 |
| 事業会社の企画やDXの推進 | 複数の部署をまとめて進める力 | 業務の知識と、施策の効果を示す力 |
特にプロジェクトマネージャーは、PMOから進む人の多い道です。小さなプロジェクトや、プロジェクトの一部の管理を任せてもらうところから始めると、判断と責任の経験を積めます。
プロジェクトマネージャーを目指すときの動き方
まずは、プロジェクトの中の小さな作業の単位や、社内の改善の取り組みなど、範囲の限られた管理を任せてもらえないか相談してみてください。自分で計画を立て、判断し、結果に責任を持つ経験は、規模が小さくても大きな意味があります。その経験をもとに、少しずつ任される範囲を広げていきましょう。
職務経歴書で、PMOの経験を伝える
転職で年収を上げるには、PMOの経験を「支援していた」ではなく、「何を動かし、何を変えたか」で伝えることが大切です。
書くときは、プロジェクトの規模、自分の役割、工夫と結果を入れます。たとえば、「参加者約80人、期間2年の基幹システムの刷新のプロジェクトでPMOを担当。課題の管理の仕組みを整え、課題の対応の日数を平均10日から6日に短縮。経営層向けの月次の報告の資料を作成し、判断に必要な論点の整理を担当」のように書きます。
数字は、在職中に記録しておかないと後から思い出せません。改善に取り組むたびに、変える前と後の数字を残しておきましょう。
年収を上げるための、1年の計画
年収を上げる取り組みは、1年ほどの計画にすると進めやすくなります。
最初の3か月は、事務作業を書き出して効率化し、空いた時間で課題の整理を始めます。4〜6か月目は、課題の分析と対策の案を添えた報告を定例にし、成果の数字を記録します。7〜9か月目は、顧客やプロジェクトマネージャーからの評価を集め、担当の範囲を広げる相談をします。10〜12か月目は、1年の成果をまとめて年収の見直しを相談し、上がらない場合は、会社や働き方を変える準備を始めます。
1年後に、役割の変化、成果の数字、周りからの評価がそろっていれば、社内でも転職でも、年収を上げる交渉の材料は十分にそろっています。
計画は、上司や自社の担当者にも共有しておくと、役割を広げる機会をもらいやすくなります。
よくある質問
- PMOは年収が上がらない仕事ですか
-
事務作業が中心で成果が見えにくいと上がりにくいですが、課題の整理や判断の材料づくりに役割を上げると、年収は上げられます。
- PMOの年収の相場はどのくらいですか
-
役割と働き方によって大きく違い、事務寄りの役割では低め、戦略に関わる役割では高くなります。
- PMOから年収を上げるには何をすればいいですか
-
事務作業を効率化し、課題の整理と対策の提案に時間を使い、成果を数字で示すことから始めてください。
- PMOからプロジェクトマネージャーになれますか
-
なれます。計画と課題の管理の経験を土台に、小さなプロジェクトで判断と責任の経験を積むのが近道です。
- SESのPMOは年収が低いですか
-
商流が深いと、単価のうち手元に届く割合が小さくなりやすいです。商流の浅い会社や、社員として働ける会社も検討しましょう。
まとめ
PMOの年収が上がらないのは、役割、成果の見せ方、働き方の形に理由があります。どれも、自分の動き方で変えられます。
- 年収が上がらない理由を、事務作業・見えにくさ・働き方・次の役割の4つに分ける
- 事務作業を効率化し、課題の整理と対策の提案に役割を上げる
- 成果は、時間や日数の数字で示す
- いまの職場で上がらないなら、商流や会社を変える
- PMOの経験を土台に、プロジェクトマネージャーやITコンサルを目指す
まずは、いまの仕事のうち事務作業にかかっている時間を書き出し、1つを効率化するところから始めてください。空いた時間を課題の整理に使うことが、年収を上げる第一歩になります。
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