読者の方情シスで働いていますが、クラウドや外部のサービスが増えて、自分の仕事がなくなるのではと不安です。情シスに将来性はあるのでしょうか。



情シスの仕事がなくなることはありません。ただ、中身は大きく変わっています。変化の方向を知って準備すれば、むしろ求められる人材になれますよ。
クラウドのサービスが広がり、サーバーを自社で持たない会社が増えています。パソコンの管理や問い合わせ対応を外部に任せる会社も珍しくありません。こうした変化を見て、「情シスは将来いらなくなるのでは」と不安を感じる人は多くいます。
結論から言うと、情シスという役割は今後も必要です。ただし、機器の設定や保守といった「手を動かす仕事」は減り、サービスの選定、セキュリティ、業務の改善、社内のIT活用の推進といった「考えて決める仕事」の比重が大きくなっています。この変化に合わせて経験を積めば、情シスの将来性は十分にあります。
この記事では、情シスの将来性を仕事の変化から整理し、減っていく仕事と増えていく仕事、身につけたいスキル、将来に不安を感じたときの動き方、そして情シスの経験を活かせる移り先を説明します。
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情シスがなくならない、3つの理由
まず、情シスという役割そのものが必要とされ続ける理由を確認します。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ITを使わない会社はない | 業務のほとんどがシステムやクラウドのサービスで動いている |
| セキュリティの重要性が増している | 情報の流出や攻撃への備えは、経営の課題になっている |
| サービスを選んで組み合わせる人が必要 | 外部のサービスが増えるほど、会社に合うものを選び、管理する役割が重要になる |
外部のサービスを使えば使うほど、それを会社として正しく選び、つなぎ、安全に使うための役割が必要になります。情シスの仕事がなくなるのではなく、仕事の中身が変わっていると考えるのが正確です。
「情シス不要論」が出てくる背景
情シスがいらないという意見は、主に、クラウドのサービスで機器の管理が不要になる、外部の業者にまとめて任せられる、という考えから来ています。たしかに、機器の設定や保守だけを担当する役割は小さくなっています。しかし、外部に任せた結果、会社の事情を理解せずに導入が進み、使われないシステムや、情報の管理があいまいなサービスが増えた、という会社も少なくありません。こうした失敗から、社内でITを判断できる人の価値が見直されています。
減っていく仕事と、増えていく仕事
情シスの仕事の中で、今後の需要が変わりそうなものを整理します。
| 仕事 | 今後の見通し | 理由 |
|---|---|---|
| サーバーの設置や保守 | 減っていく | クラウドへの移行が進んでいる |
| パソコンの設定や修理 | 減っていく | 自動の設定や外部への委託が広がっている |
| 定型の問い合わせ対応 | 減っていく | よくある質問の整備や自動の応答で対応できる |
| クラウドのサービスの選定と管理 | 増えていく | 使うサービスの数が増えている |
| セキュリティの対策 | 増えていく | 攻撃が巧妙になり、対策の範囲が広がっている |
| 業務の改善とIT活用の推進 | 増えていく | デジタル化で業務を変える取り組みが求められている |
| データの管理と活用 | 増えていく | 経営の判断にデータを使う会社が増えている |
減っていく仕事を担当しているからといって、すぐに不要になるわけではありません。ただ、同じ仕事だけを続けていると、数年後に選べる道が狭くなる可能性があります。



いまはパソコンの設定と問い合わせ対応が中心なので、少し焦ります。



その経験は、社内の人がITで何に困っているかを一番よく知っているということです。増えていく仕事につなげる土台になりますよ。
AIの広がりで、情シスの仕事はどう変わるか
生成AIをはじめとするAIの道具が広がり、情シスの仕事にも影響が出始めています。よくある問い合わせへの回答や、手順書の下書き、簡単な設定の手順の作成などは、AIの助けで大きく効率化できるようになりました。
一方で、AIの道具を社内で使うかどうか、どのサービスなら安全か、社員にどんなルールで使ってもらうかを決めるのは、情シスの新しい仕事です。入力した情報がどこに保存されるのか、会社の機密情報を入れてよいのかといった判断は、会社の事情を知る人にしかできません。AIは情シスの仕事を奪うものではなく、情シスが判断すべきことを増やしているとも言えます。
AIの道具を、自分の仕事で先に使ってみる
社内でのAIの活用を任される前に、自分の仕事で使ってみると、よい点と注意点が具体的に分かります。問い合わせの回答の下書き、社内向けのお知らせの文章、手順書の整理などから試してみてください。使った経験があれば、社員への説明や、ルールづくりの提案にも説得力が出ます。
社員が勝手に使うサービスへの対応
情シスが知らないうちに、社員が個人の判断で外部のサービスを使い始めるケースが増えています。便利なサービスでも、会社の情報が管理されない場所に保存される危険があります。禁止するだけでは、隠れて使われるだけになりがちです。社員が何に困ってそのサービスを使っているのかを聞き、安全なサービスを会社として用意することが、これからの情シスに求められる対応です。
これからの情シスに、求められる役割
仕事の変化を踏まえると、これからの情シスには次のような役割が求められます。
- 会社の業務に合うサービスを選び、導入を進める
- 社内で使われているサービスとアカウントを把握し、管理する
- セキュリティのルールを作り、社員に浸透させる
- 業務の課題を見つけ、ITで改善する案を出す
- 経営層に、ITへの投資の必要性を説明する
どれも、機器を触る技術より、会社の業務と経営を理解したうえで判断する力が求められる役割です。外部の業者にはない、社内にいるからこそ担える役割でもあります。
将来に向けて、身につけたいスキル
求められる役割に合わせて、身につけておきたいスキルを整理します。
| スキル | 内容 | 身につけ方の例 |
|---|---|---|
| クラウドのサービスの知識 | 主なサービスの仕組み、費用、管理の方法 | 社内で使っているサービスの管理画面を詳しく調べる |
| セキュリティの知識 | 攻撃の手口、対策、社内のルールづくり | 社内のルールを見直し、資格の学習を進める |
| 業務の理解 | 各部署の仕事の流れと課題 | 部署の担当者に業務を聞き、流れを図にする |
| 業者の選定と管理 | 見積もりの比較、契約、品質の確認 | 更新の機会に複数の業者から提案をもらう |
| 説明と提案の力 | 経営層や社員に分かりやすく伝える | 改善の提案を1枚の資料にまとめて出す |
すべてを一度に身につける必要はありません。いまの仕事に近いものから1つ選び、半年ほどかけて深めていくと、無理なく広げていけます。
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- 今の年収が、同じスキルの人より低い気がする
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いまの仕事を、将来につながる経験に変える方法
日々の仕事の中でも、増えていく仕事につながる経験は積めます。
会社で使っているクラウドのサービス、契約、費用、管理者を表にまとめます。
よくある問い合わせの内容を分類し、原因と対策を考えます。
分析の結果から、手順書の整備やサービスの設定の見直しなどを提案します。
問い合わせの件数の変化や、減った費用を上司に報告します。
1つ目の一覧は、多くの会社で整っていないものです。社内でどんなサービスが使われ、誰が管理しているのかを把握することは、セキュリティの面でも費用の面でも価値があり、情シスの存在感を高めます。
一覧を作ると、使われていない契約や、同じ目的のサービスの重複が見つかることがあります。見直しで減らせた費用は、分かりやすい成果として示せます。
サービスの一覧に、書いておきたい項目
一覧には、サービスの名前だけでなく、使っている部署、利用者の人数、月や年の費用、契約の更新日、管理者のアカウントを持っている人、保存している情報の種類を書いておくと役立ちます。特に、退職した人が管理者のままになっていないか、更新日を過ぎて自動で契約が続いていないかは、一覧を作ったときに必ず確かめてください。
経営層に、情シスの価値を伝える
情シスの将来は、個人のスキルだけでなく、会社が情シスをどう見ているかにも左右されます。費用がかかる部署としか見られていない会社では、役割を広げる機会も予算も得られません。
価値を伝えるには、ITの話を経営の言葉に置き換えることが大切です。たとえば、「クラウドのサービスを見直した結果、年間で120万円の費用を減らせた」「問い合わせの手順書を整えて、社員の待ち時間を月に30時間減らした」「攻撃のメールへの対策で、被害を未然に防いだ」のように、お金、時間、危険の3つの観点で伝えます。
こうした報告を続けると、情シスは守りの部署から、会社を強くする部署として見られるようになります。見られ方が変われば、任される仕事も、将来の選択肢も広がっていきます。
会社の規模で変わる、情シスの将来
情シスの将来性は、会社の規模によっても見え方が変わります。
| 会社の規模 | 情シスの特徴 | 将来に向けて意識したいこと |
|---|---|---|
| 大きな会社 | 役割が分かれ、専門を深めやすい | 担当の分野を1つ深めつつ、全体を見る経験も積む |
| 中堅の会社 | 少人数で幅広く担当する | 外部への委託と社内の判断の分け方を考える |
| 小さな会社 | 一人で全てを担当することが多い | 自分がいなくても回る仕組みを作り、判断の仕事に時間を使う |
どの規模でも共通するのは、手を動かす仕事を仕組みや外部に任せ、自分は判断と改善の仕事に時間を使う方向に変わっていくことです。
年齢とともに求められる役割
20代から30代前半は、幅広い仕事を経験しながら、得意な分野を見つける時期です。30代後半からは、サービスの選定や予算の管理、社内のルールづくりなど、判断を任される経験が求められます。40代以降は、IT部門のまとめ役や、経営層にITの方針を提案する立場が期待されます。年齢に合った経験を積めているかを、ときどき振り返ってみてください。
どの年代でも、「自分がいなくても回る仕組み」を作れる人は評価されます。手順書や一覧を整えることは、将来に向けたいちばん確実な投資です。
情シスの将来が不安になりやすい人の特徴
同じ情シスでも、将来に不安を感じやすい人には共通点があります。
- 何年も同じ作業だけを担当している
- 社内で使っているサービスの全体を把握していない
- 業者に言われるまま、導入や更新を決めている
- 自分の仕事の成果を、数字で説明できない
- 新しいサービスや技術の情報を、ほとんど追っていない
当てはまる項目が多い場合でも、今日から変えられることばかりです。1つずつ減らしていけば、不安は具体的な準備に変わります。
資格は、将来の準備として役立つか
情シスの将来に向けて、資格の取得を考える人も多いでしょう。資格は、知識を体系的に学ぶきっかけとして、また転職のときに知識を示す材料として役立ちます。
- セキュリティの資格:社内のルールづくりや事故への備えに直結する
- クラウドのサービスの資格:サービスの仕組みと管理の方法を体系的に学べる
- ITの基礎と管理の資格:情シスに必要な知識を幅広く確認できる
- プロジェクトの管理に関わる資格:導入の案件を進める力を示せる
ただし、資格だけで評価が大きく変わることは多くありません。学んだ内容を、社内のルールの見直しやサービスの管理で実際に使い、その結果を説明できるようにすることが大切です。資格と実務の経験がそろうと、社内でも転職でも強い材料になります。
情シスの経験を活かせる、移り先
いまの会社で将来が見えない場合は、情シスの経験を活かして移る道もあります。
| 移り先 | 活かせる経験 | 向いている人 |
|---|---|---|
| IT投資に積極的な会社の情シス | サービスの選定、業務の改善 | 情シスとして役割を広げたい人 |
| セキュリティの専門の職種 | 社内のルールづくり、事故への備え | セキュリティを深めたい人 |
| SIerやITコンサル | 発注する側の視点、業務の理解 | さまざまな会社の課題に関わりたい人 |
| クラウドのサービスの導入支援 | サービスの管理と社内への展開 | クラウドの知識を活かしたい人 |
情シスの経験は、「発注する側の視点を持っている」「社員がITで困ることを知っている」という点で、多くの職種で評価されます。
将来の不安を、行動に変える1年の計画
将来の不安は、考え続けるだけでは小さくなりません。1年ほどの計画に落とし込むと、具体的な準備に変わります。
最初の3か月は、社内で使っているサービスの一覧を作り、問い合わせの内容を分類します。次の3か月で、一覧と分類の結果から改善の案を1つ選び、上司に提案して実行します。後半の6か月では、伸ばしたい分野を1つ決めて学習を進め、学んだ内容を社内のルールや設定の見直しに使います。
1年たったとき、一覧、改善の実績、学んだ分野の3つがそろっていれば、情シスとしての将来の見通しは大きく変わっているはずです。いまの会社で役割を広げる場合も、別の会社に移る場合も、この3つが自分の強みを説明する土台になります。
同じ悩みを持つ情シスと、つながる
情シスは社内に同じ仕事をする人が少なく、将来の不安を一人で抱え込みがちです。社外の情シス向けの勉強会や、利用しているサービスの利用者の集まりに参加すると、ほかの会社の情シスがどんな変化に取り組んでいるかを知ることができます。自分の会社だけを見ていると気づけない変化や工夫に触れることで、将来への見通しも具体的になります。
移る場合も、いまの会社でサービスの一覧や改善に取り組んだ経験があると、面接で具体的な話ができます。
よくある質問
- 情シスは将来なくなりますか
-
なくなりません。機器の保守などの仕事は減りますが、サービスの選定、セキュリティ、業務の改善といった役割の需要は増えています。
- クラウドが広がると、情シスの仕事は減りますか
-
サーバーの保守などは減りますが、サービスの選定や管理、セキュリティの対策の仕事は増えます。
- 情シスが身につけるべきスキルは何ですか
-
クラウドのサービスの知識、セキュリティ、業務の理解、業者の管理、説明と提案の力が求められます。
- 問い合わせ対応ばかりで将来が不安です
-
問い合わせを分析して改善を提案すると、業務の改善の経験につながります。
- 情シスから転職するならどこがいいですか
-
IT投資に積極的な会社の情シス、セキュリティの職種、SIerやITコンサルなどで経験を活かせます。
まとめ
情シスの将来性は、役割がなくなるかどうかではなく、変わっていく仕事に合わせて経験を積めるかどうかで決まります。
- 情シスという役割は、今後も必要とされる
- 機器の保守などは減り、選定・セキュリティ・改善の仕事が増える
- 社内で使うサービスを一覧にするところから始める
- 成果は、件数や費用の数字で示す
- いまの会社で変化に関われないなら、移ることも考える
まずは、会社で使っているサービスを一覧にして、自分がどこまで把握しているかを確かめてください。その一覧が、これからの情シスの仕事の出発点になります。
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