読者の方同年代の友人より年収が低い気がします。SIerって、そういうものなんでしょうか。



会社の立ち位置でかなり変わります。仕組みが分かれば、上げ方も見えてきますよ。
SIerの年収が低いと感じる理由は、能力でも努力でもありません。受注した金額が、会社をまたぐたびに減っていくという仕組みが、そのまま給与の上限を決めています。
結論から言うと、年収を決めているのは「商流のどこにいるか」と「どの工程を担当しているか」の2つです。同じ経験でも、この2つが変わると100万円以上の差がつきます。
この記事では、年収が低くなる仕組み、立場ごとの相場、社内で上げる方法、転職で上げる方法を順に説明します。
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SIerの年収が低くなる、3つの仕組み
まず、原因を整理します。どれも個人の努力とは別のところにあります。
| 仕組み | 起きていること | 影響 |
|---|---|---|
| 人月で金額が決まる | 成果ではなく、働いた時間で請求する | 効率化しても売上が増えない |
| 商流が深い | 間に入る会社の数だけ取り分が減る | 給与の原資が小さくなる |
| 年功で配分する | 評価より在籍年数で決まる | 若いうちは上がりにくい |
1つ目は業界の慣習です。早く終わらせても請求額は増えないため、工夫が給与に返ってきにくい構造になっています。
2つ目が最も影響の大きい要素です。顧客が月100万円払っていても、三次請けの会社に入るのは60万円前後ということがあります。そこから会社の経費と利益を引いた残りが給与になります。
人月という数え方が、天井を作っている
作業量を人数と月数で見積もる方法では、単価の相場が先に決まります。会社が受け取る金額に上限があるため、そこから支払われる給与にも自然と上限ができます。
この構造から抜けるには、金額の決め方に関われる立場へ移る必要があります。提案や要件定義に関わる人は、単価そのものを動かす側に回れます。



がんばりが足りないのではなく、がんばりが金額に反映されない仕組みなんです。
年収の相場は、立場・工程・年代で決まる
立場ごとの、年収の目安
同じSIerでも、立ち位置で相場が変わります。
| 立場 | 年収の目安 | 伸びる条件 |
|---|---|---|
| 三次請け以下 | 350万〜500万円 | 単価が契約で固定され、伸びにくい |
| 二次請け | 400万〜600万円 | 上流の一部を任されると上がる |
| 元請け | 450万〜750万円 | 提案や要件定義で評価される |
| 元請けの管理職 | 700万〜950万円 | 案件の採算に責任を持つ |
自分がどこにいるかは、案件の契約の形を見れば分かります。自社が顧客と直接契約しているか、間に会社が入っているか。上司や営業に聞けば答えが返ってきます。
商流によって働き方が決まる仕組みと同じで、年収も立ち位置で大きく変わります。
担当する工程でも、金額は変わる
商流が同じでも、任される工程で評価は変わります。
| 担当する工程 | 求められること | 年収への影響 |
|---|---|---|
| テストと修正 | 手順どおりに進める | 伸びにくい |
| 実装 | 設計どおりに作る速さ | ある程度で頭打ち |
| 設計 | 影響範囲を判断する | 伸びやすい |
| 要件定義 | 顧客の要望を形にする | 大きく伸びる |
| 提案と見積もり | 金額を決める | 最も伸びる |
人数が多い工程ほど単価は下がり、判断を伴う工程ほど上がります。ここは業界を問わない原則です。
年代別に、狙える金額の目安
年齢によって、企業が見るところが変わります。
| 年代 | 評価されること | 現実的な目標 |
|---|---|---|
| 20代 | 伸びしろと素直さ | 400万〜500万円 |
| 30代 | 担当できる工程の広さ | 500万〜700万円 |
| 40代 | 業務知識とマネジメント | 600万〜850万円 |
30代で実装だけを続けていると、上限が500万円台で止まりやすくなります。この時期に上流の経験を作れるかどうかが、その後を左右します。
長く働くための準備とあわせて、担当の広げ方を早めに意識しておくと安心です。
自分の単価と、会社の昇給の仕組みを確かめる
自分の単価を把握する方法
年収の妥当性を判断するには、自分がいくらで契約されているかを知る必要があります。
聞く相手は、自社の営業担当か上司です。案件の単価はいくらかと、そのうち自分の人件費としていくら見込まれているかを確認します。
答えてもらえる会社なら、評価の話も具体的にできます。単価が月80万円で年収が450万円なら、会社の取り分は4割ほどです。この割合が妥当かどうかは、提供されている支援の内容と合わせて判断します。
聞いても答えてもらえない場合、交渉の土台がありません。それ自体が、環境を見直す材料になります。
昇給の仕組みを確認しておく
社内で上げる道を探すなら、まず自社の昇給の仕組みを知る必要があります。確認すべき項目を挙げます。
- 等級の一覧と、各等級の年収の幅
- 昇格の条件(資格、年数、評価のどれか)
- 専門職として上がる道があるか
- 評価の基準が公開されているか
- 直近3年で、同年代がどれだけ上がっているか
5つ目は、実態を知るうえで最も役に立ちます。制度があっても運用されていない会社では、条件を満たしても上がりません。
等級の上限が見えたら、その金額と相場を比べてください。上限が相場より低いなら、社内でできることには限界があります。
上がらない会社の見分け方
次のような会社では、何年いても大きくは変わりません。
- 昇給額が一律で、評価との連動がない
- 評価の基準が公開されていない
- 常駐が中心で、自社案件がほとんどない
- 自分の契約単価を教えてもらえない
- 管理職にならないと等級が上がらない
4つ目は判断材料として有効です。単価を聞いてはぐらかされる会社では、交渉の土台がありません。



単価を聞くのは失礼ではないですか。



失礼ではありません。答えられる会社ほど、評価の仕組みもはっきりしていますよ。
社内で年収を上げる、5つの方法
転職せずに上げる道もあります。効果が出やすい順に並べます。
- 要件定義や提案に関わらせてもらう
- 元請け案件の担当に変えてもらう
- 業務知識を深めて、相談役になる
- 資格手当の対象になる資格を取る
- 評価面談で、担当した範囲を自分から示す
5つ目は見落とされがちです。常駐先での成果は自社に伝わりません。四半期に一度でよいので、担当した内容と成果を文章で提出しておくと、評価の材料になります。
4つ目は会社によって金額が違います。月数千円の手当から、上位資格で一時金が出る会社まであります。就業規則を確認してください。
担当した案件の規模、期間、決めていた範囲を1枚にまとめます。
同じ経験の求人が、いくらで募集されているかを調べます。
希望額と、その根拠を一緒に伝えます。
1つでも当てはまるなら、一度相談しておくと安心です
- 今の年収が、同じスキルの人より低い気がする
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経歴に書くと、評価が変わること
年収の交渉で効くのは、技術の一覧ではありません。任されていた範囲です。
- 担当した工程(要件定義、設計、実装、テスト)
- 案件の規模(金額、期間、人数)
- 自分が決めていたこと
- 顧客と直接やりとりしていたか
- 改善で出した成果(時間や件数の変化)
3つ目が特に効きます。見積もりを出していた、機能の優先順位を決めていた、といった内容は、単価の根拠として説明できます。
数字が出せない場合も、状況を具体的に書けば十分です。仕様変更が多い案件で納期を守った、といった説明も評価の対象になります。
上流の工程に移るまでの、具体的な道筋
単価を上げるには、担当する工程を上げるのが近道です。順番を示します。
まず、仕様の疑問を返す側に回ります。次に、要件の打ち合わせに同席させてもらいます。そして、議事の整理を引き受けます。ここまで来ると、要件定義の一部を任される流れができます。
この過程で必要なのは、技術よりも業務の理解です。担当している業務の流れを説明できるようになると、会話に入れるようになります。
年収の交渉は、準備してから切り出す
交渉の具体的な手順
準備なしに切り出しても通りません。手順を決めておきましょう。
担当した案件、決めていた範囲、成果を1枚にします。
同じ経験の求人が、いくらで募集されているかを確認します。
現在の金額と希望額を、具体的な数字にします。
不満ではなく、今後任されたい役割と合わせて話します。
半年で変わらなければ、外の選択肢を検討します。
通らなかった場合も収穫はあります。会社の上限が分かるため、残るか動くかの判断材料になります。
評価面談を、年収の交渉の場にする
多くの人は、面談を報告の場として終わらせています。交渉の場として使ってください。
伝えるのは、今期の実績、決めていた範囲、次に任されたい役割、そして希望する金額です。数字を出すことを遠慮する必要はありません。
その場で決まらなくても、記録に残ります。次の改定のときに、判断材料として扱われます。
昇給を待つ間に、やっておくこと
いまの会社で上がるのを待つ場合も、材料をそろえておくと交渉が有利になります。
担当した案件の規模と、決めていた範囲を記録してください。評価面談のときに、口頭で思い出しながら話すのと、1枚の資料を出すのとでは、伝わり方がまったく違います。
また、相場を調べておくと、提示された金額が妥当かどうかを判断できます。年に一度、求人を5件ほど見るだけで十分です。
実際に年収を上げた人の例
同じ会社で年収を上げた人
同じ会社にいながら年収を上げた人の動き方には、共通点があります。
多いのは、提案や見積もりの場に加わった例です。営業に同行して顧客の要望を聞き、概算を出す役割を引き受けたことで、翌年から単価の高い案件に配置されるようになりました。
もうひとつは、特定の業務領域に詳しくなった例です。決済や在庫など、担当する業務の仕組みを説明できるようになると、指名で仕事が来るようになります。指名される人は、単価の交渉でも有利になります。
転職で構造から抜けた人
実際に動いた人の例を挙げます。共通点は、商流か工程のどちらかを変えたことです。
二次請けで実装を担当していた人が、元請けの会社に移り、要件定義に関わるようになりました。年収は450万円から580万円に上がっています。
もうひとつは、業務知識を武器に事業会社へ移った例です。年収は横ばいでしたが、残業が月30時間減り、時間あたりでは大きく改善しています。
年収が上がらない会社に、残るべきか
昇給の仕組みを確認したうえで、残るか動くかを判断してください。基準を挙げます。
残る価値があるのは、上流の工程に関われている場合、業務知識が増えている場合、学ぶ時間が取れている場合です。金額が低くても、市場価値は上がっています。
逆に、担当が2年以上変わらず、等級の上限も低いなら、待っても状況は変わりません。その場合は、外の条件を確かめる価値があります。
転職で上げる場合の、上がり幅と比べ方
移り方ごとの、上がり幅の目安
転職での上がり方は、移り方によって決まります。
| 移り方 | 上がり幅の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ立場のSIerへ | 0〜50万円 | 相場の範囲で調整される |
| 下請けから元請けへ | 50万〜150万円 | 単価の決まり方が変わる |
| 事業会社の社内SE | マイナス50万〜プラス50万円 | 残業が減るぶん総額が変わる |
| ITコンサル | 100万〜300万円 | 成果と提案が金額に直結 |
大きく上げたい場合は、上流の職種へ移るのが最短です。ITコンサル転職に強い転職エージェントのまとめで、求人の年収帯を確認してみてください。
働き方も守りたい場合は、元請け中心の会社が現実的です。SE転職に強い転職エージェントのまとめから、自社開発や元請けの比率が高い会社を紹介してもらうと比べやすくなります。
提示額にみなし残業が何時間含まれているかを必ず確認してください。年収が上がっても、時間あたりの金額が下がることがあります。
年収だけでなく、総額で比べる
提示された年収だけを見て判断すると、実際の手取りとずれることがあります。
- みなし残業の時間数と、超過分の支払い
- 賞与が固定か、業績連動か
- 住宅や家族の手当
- 退職金の有無
- 通勤にかかる時間と費用
3つ目と4つ目は、年収の表示に含まれないことが多い項目です。長く働く前提なら、影響は小さくありません。
年収に占める残業代の割合を見る
SIerの年収は、残業代で膨らんでいることがあります。月30時間の残業が続く職場では、残業代だけで年収の1割を超える例も珍しくありません。
この状態で残業の少ない会社へ移ると、基本給が上がっても額面の年収は下がって見えます。比べるときは、基本給と固定の賞与だけを取り出してください。残業を除いた金額が、自分の経験に対する本来の評価です。
同期や友人と比べて落ち込む前に
同年代と年収を比べて落ち込む人は多いのですが、比べる相手の勤め先によって前提がまったく違います。元請けか下請けか、事業会社かどうかで、同じ働きでも金額は変わります。
比べるなら、同じ経験年数で同じ工程を担当している人の相場です。求人サイトで、自分と似た経歴が求められている募集を見ると、その金額が実際の相場になります。感覚で落ち込むより、数字を見るほうが健全です。
そのうえで低いと分かったなら、それは能力の話ではなく、立ち位置の話です。動けば変えられます。
年収の話を、家族とどう共有するか
転職を検討するとき、年収の変化は家族にも影響します。数字で共有しておくと、話が進めやすくなります。
伝えるのは、現在の年収と残業時間、移った場合の見込み、そして通勤時間の変化です。手取りだけでなく、生活の時間がどう変わるかも一緒に示すと、判断が共有しやすくなります。
年収が下がる選択でも、残業が大きく減るなら、時間あたりでは改善していることがあります。数字を並べて説明すれば、納得してもらいやすくなります。
上げるための行動を、1つだけ決める
一度にすべてを変えようとすると続きません。今月やることを1つ決めてください。
候補は、単価を聞く、評価面談で希望額を伝える、要件定義に関わらせてもらう、求人を5件見る、経歴を1枚にまとめる。どれも1時間以内で始められます。
1つ動かすと、次にやることが見えてきます。年収の話は、情報を集めた人から順に変わっていきます。
よくある質問
- SIerの年収が低いのは会社が悪いのですか
-
悪意があるというより、人月と商流という仕組みの問題です。立ち位置を変えると金額も変わります。
- 資格を取れば上がりますか
-
手当がある会社では上がります。ただ、担当する工程のほうが金額への影響は大きいです。
- 年収交渉はしていいのですか
-
構いません。担当した範囲と相場を根拠として用意してください。
- 30代で年収が伸びていません
-
実装中心の担当が続いていないか確認してください。要件定義の経験を作ると変わります。
- 転職すれば必ず上がりますか
-
同じ商流の同じ工程では大きく変わりません。立ち位置か工程を変える必要があります。
まとめ
年収の低さは、能力ではなく仕組みが決めています。
- 人月と商流が、給与の上限を作っている
- 担当する工程が上がるほど、単価も上がる
- 常駐先での成果は、自分から自社へ伝える
- 大きく上げるなら、元請けか上流の職種へ
- 提示額は、みなし残業を含めて確認する
まずは、自分の会社が何次請けなのかを確かめてください。そこが分かると、次に打つ手も決まります。
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