自社開発についていけないと感じたら|原因の切り分けと3か月の埋め方

読者の方

受託から自社開発の会社に移ったのですが、周りのレベルが高くてついていけません。

ぼく

最初の半年はほぼ全員がそうなります。埋め方の順番を決めれば大丈夫ですよ。

自社開発の会社に移った人がつまずくのは、能力の差ではありません。前の職場と、求められるものの中身が違うだけです。受託では期限内に仕様どおり作ることが評価されますが、自社開発では、何を作るべきかを考える部分まで求められます。

結論から言うと、ついていけないと感じる原因は「業務知識の不足」「技術の前提の違い」「進め方の違い」の3つに分かれます。どれも、順番に埋めれば追いつけるものです。

この記事では、つまずく理由の分解、最初の3か月でやること、それでも合わないときの判断、そして次の選択肢を説明します。

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目次

ついていけないと感じる3つの原因

まず、自分がどれで詰まっているのかを確かめます。

原因起きていること埋め方
業務知識の不足何のための機能か分からない利用者の使い方を知る
技術の前提の違い使う仕組みや道具が違う担当範囲から順に覚える
進め方の違い決め方や会議の作法が違う先に作法を聞く

多いのは1つ目です。受託では仕様書に書かれた内容を作りますが、自社開発では「なぜこの機能が必要か」から関わります。背景が分からないままだと、判断のたびに手が止まります。

3つ目も見落とされがちです。誰がどこまで決めてよいのか、どの段階で相談すべきか。会社ごとの作法を知らないだけで、動きが遅く見えてしまいます。

前の職場での経験は、無駄になっていない

受託で身につけた、期限を守る力、仕様の抜けに気づく力、障害時に落ち着いて切り分ける力。これらは自社開発でも重宝されます。足りないのは知識であって、能力ではありません。

むしろ、自社開発しか経験していない人は、納期や見積もりの厳しさを知らないことがあります。そこは自分の強みとして出していけます。

ぼく

違いに戸惑っているだけです。半年たつと、逆に前の経験が効いてきますよ。

最初の3か月でやること

月ごとの進め方

やみくもに勉強するより、順番を決めたほうが早く追いつけます。

1か月目

利用者の使い方を知る。実際の画面を触り、問い合わせの記録を読みます。

2か月目

担当する部分の仕組みを図にする。データの流れを追うと、判断の材料が増えます。

3か月目

小さな改善を提案する。手順の自動化や、見づらい部分の修正で十分です。

その後

仕様を決める場に同席する。背景を知ると、作る速さが変わります。

1か月目を飛ばす人が多いのですが、ここが一番効きます。利用者が何に困っているかを知ると、機能の意図が分かり、仕様の疑問も具体的になります。

入社直後は、質問しても評価が下がりません。むしろ最初の3か月に聞いておかないと、後から聞きにくくなります。

書くより、読むことから始める

新しい職場では、書くことよりも読むことに時間を使うほうが結果的に早く追いつけます。既存の仕組みには、その会社の決め方や過去の判断が詰まっているためです。

読む順番にもこつがあります。まず、自分が担当する機能の入り口から出口までを追い、次に、よく修正されている部分を見ます。修正が多い場所は、業務の変化が激しい部分であり、理解しておく価値が高いところです。

読んで分からなかった点は、質問の形にして残しておきます。似た疑問が何度も出るようなら、それは資料が不足している証拠なので、自分でまとめること自体が貢献になります。

質問の仕方を変える

同じ内容でも、聞き方によって受け取られ方が変わります。分からないので教えてください、と伝えるだけだと、相手は何から説明すべきか迷います。

効果的なのは、自分の理解を添えることです。ここまでは追えたが、この部分で止まっている、と伝えると、相手は不足している部分だけを補えます。時間も短く済み、こちらの理解度も伝わります。

入社してすぐの時期は、この聞き方ができるだけで印象が変わります。理解しようとしている姿勢が見えるためです。

3か月目の壁を越える

多くの人が、3か月目あたりで壁を感じます。用語は分かってきたのに、判断ができない時期です。

この時期に効くのは、過去の記録を読むことです。修正の履歴、障害の対応、設計の資料。判断の理由が蓄積されているため、自分の判断の材料になります。

もうひとつは、決めた内容を人に説明することです。説明できないところが、理解できていない部分です。穴が特定できれば、埋め方も決まります。

入社直後に、やらないほうがいいこと

早く成果を出したい気持ちは自然ですが、順番を間違えると信頼を損ないます。

避けたいのは、前職のやり方をそのまま持ち込むことです。背景を知らないまま否定すると、必要な情報が入ってこなくなります。

もうひとつは、質問せずに自己判断で進めることです。既存の仕組みには理由があり、知らずに変えると影響が広がります。

3つ目は、抱え込むことです。進捗を共有しないまま時間が過ぎると、評価も下がります。分からない状態を早く出すほうが、結果的に早く進みます。

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周りとの差を、どう受け止めるか

周りがすごく見えるのは、背景を知らないから

同じ職場の人が優秀に見えるのは、その人が積み上げてきた背景を知らないからです。3年その仕組みを触っている人と、入って2か月の人では、判断の速さが違って当然です。

比べるなら、同じ条件のときの姿と比べてください。入社2か月時点の先輩が、いまの自分より優れていたかどうかは、誰にも分かりません。

焦って詰め込むより、担当範囲を確実に理解するほうが、結果的に早く追いつきます。

前職と比べて落ち込まないために

新しい環境では、前の職場で当たり前にできていたことができなくなります。落ち込みやすい時期です。

ただ、できなくなったのは知識の差であって、能力の差ではありません。半年たてば、前職と同じ感覚で動けるようになります。

焦りが強いときは、自分が持ち込めたものを数えてください。段取り、記録、品質の意識。周囲が持っていない部分が必ずあります。

半年たつと、判断の速さが変わる

多くの人は、3か月目までが一番つらく、半年を過ぎると落ち着きます。変化は、技術の習得よりも、判断の速さに表れます。

どこを見れば分かるか、誰に聞けば早いか、どこを触ると危ないか。この3つが分かるようになると、同じ作業でも時間が半分になります。周りから見ても、任せられる範囲が広がったと映ります。

焦って評価を取りにいくより、この3つを確実に押さえるほうが近道です。半年という期間を、はじめから見込んでおくと気持ちも楽になります。

技術の差を埋める、現実的な方法

知識の差は、業務の中で埋めるのが最短です。

  • 担当する部分で使われている仕組みだけを、先に調べる
  • 過去の修正の記録を読み、判断の理由を知る
  • レビューの指摘を、理由まで聞いて記録する
  • 読みやすいと感じたコードの書き方を真似る
  • 分からない言葉をその日のうちに1行だけ調べる

3つ目が特に効きます。指摘の理由が分かると、次から同じ判断ができるようになります。直し方だけを覚えると、応用が利きません。

全体を網羅しようとすると挫折します。担当している部分から外側へ、少しずつ広げてください。

チームになじむための動き方

チームの進め方に慣れるまで

会社によって、決め方や会議の形は違います。慣れるまでの過ごし方を挙げます。

最初の1か月は、観察する時間に充ててください。誰が何を決めているのか、どの場で合意されるのか。これが分かると、動きやすくなります。

次に、小さな提案を出して反応を見ます。受け入れられる範囲が分かると、次から迷わずに済みます。

質問の記録を、次の人のために残す

自分が困ったことは、次に入る人も必ず困ります。記録を残すと、組織にとっての価値になります。

手順、注意点、詰まった箇所と解決方法。3行でも構いません。これを続けると、資料を整備できる人として認識されます。

入社したばかりの人だからこそ、分からなかった点を正確に書けます。慣れてしまうと、何が分からなかったかを忘れてしまうためです。

上司に伝えておきたい3つのこと

入社後の立ち上がりを早くするために、上司と共有しておきたい内容があります。

ひとつは、いまどこまで理解できているかです。分かっている範囲を伝えると、任せる仕事を調整してもらえます。

もうひとつは、困っている点です。早めに伝えるほど、対処も早くなります。3つ目は、やりたい方向です。伝えておくと、機会が来たときに候補に挙がります。

自社開発で評価されるために

受託と自社開発では、評価される時点が違う

受託では、納品した時点で仕事が終わります。期限を守り、仕様どおりに作れば評価されます。自社開発では、出したあとが本番です。使われているか、改善できているかまでが評価の対象になります。

この違いに気づかないと、作り終えた時点で手が止まってしまいます。使われ方を見て、次の改善を出すところまでが担当だと理解すると、動き方が変わります。

最初のうちは、利用者の反応を見る習慣をつけてください。問い合わせの記録や、よく使われている機能の一覧を見るだけでも、次に何をすべきかが見えてきます。

評価される成果の出し方

受託と違い、納品という区切りがありません。成果の見せ方を工夫する必要があります。

効果的なのは、小さな改善を継続して出すことです。使いにくい画面の修正、確認作業の自動化、エラーの減少。数字で示せると、さらに伝わります。

また、出したあとの反応を共有してください。使われた回数や、問い合わせが減った件数。効果まで報告できる人は、次の裁量も与えられます。

評価が出るまでの期間

成果が認められるまでには時間がかかります。目安を知っておくと、焦りが減ります。

多くの会社では、半年から1年の評価期間があります。最初の評価は、成果よりも仕事への向き合い方で判断されることが多いものです。

報告の早さ、期限の守り方、質問の仕方。この3つができていれば、技術の習得が途中でも悪い評価にはなりません。

自社開発で長く働くために

1年たったときに、振り返ること

節目で振り返ると、次の1年の目標が決まります。

確認するのは、担当した範囲、判断した経験、身についた技術の3点です。書き出すと、思ったより増えていることに気づきます。

増えていない項目があれば、それが次の1年の課題です。漠然と頑張るより、1つに絞るほうが結果が出ます。

改善を出し続ける働き方に慣れる

移った先で長く続けるには、改善を出し続ける姿勢が鍵になります。作って終わりにしない働き方です。

そのためには、利用者の反応を見る習慣が必要です。問い合わせ、利用の状況、寄せられた要望。ここから次の改善が生まれます。

この流れに乗れると、仕事の面白さも変わります。言われた通りに作る働き方とは、手応えがまったく違います。

自社開発が向いている人、受託が向いている人

どちらが優れているという話ではありません。求められるものが違うだけです。

項目自社開発受託開発
評価されること利用者の満足、継続的な改善期限と仕様どおりの納品
求められる姿勢自分で考えて提案する決まったことを確実にこなす
向いている人考えるのが好き段取りどおり進めるのが得意
つらくなる点正解が決まっていない裁量が小さい

正解が決まっていない状態が苦痛なら、受託や社内SEのほうが合っていることもあります。合わないと感じることは、能力の問題ではありません。

それでも合わないときの判断

半年たっても改善しないときのサイン

半年たっても改善しない場合は、原因が環境にある可能性があります。

  • レビューで理由を説明してもらえない
  • 質問すると嫌な顔をされる
  • 入社時の説明と、担当する内容が違う
  • 教育や引き継ぎの仕組みがない
  • 残業が多く、学ぶ時間が取れない

3つ以上当てはまるなら、本人の努力では埋まりません。職場のやり方が合わないと感じるときの考え方と合わせて確認してみてください。

入社の説明と実際の担当が違う場合は、早めに上司へ確認してください。配属の調整で解決することがあります。

合わないと判断したあとの動き方

半年たって合わないと感じた場合、次の選択肢を整理しておきましょう。

社内での異動、前職に近い環境への転職、別職種への移動。この3つが主な道です。どれを選ぶ場合も、いまの職場で何が合わなかったのかを言葉にしておいてください。

合わなかった理由がはっきりしていれば、次の会社選びの基準になります。曖昧なまま動くと、同じことを繰り返します。

次の選択肢

どうしても合わない場合、戻る選択も、別の職種へ移る選択もあります。

移り先活きる経験注意点
受託開発に戻る期限管理、仕様の読み取り裁量は小さくなる
社内SE仕組みの理解、業者との調整手を動かす機会は減る
テストや品質壊れ方の想像単調に感じる時期がある
ITコンサル業務理解と提案成果の求められ方が変わる

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入社前に確認しておくと、ずれが減ること

自社開発の会社を選ぶときは、求人票の言葉だけで判断すると、入社後に想像との差が出ます。確認しておきたい点を挙げます。

  • 担当する範囲が、実装だけか、仕様の検討から含むか
  • レビューの仕組みと、指摘の返し方
  • 教育や引き継ぎの担当がいるか
  • 利用者の声を見る機会があるか
  • 学ぶ時間を業務の中で取れるか

4つ目は、自社開発ならではの確認項目です。利用者の反応を見られない環境では、何のために作っているのかが分からず、受託と同じ感覚になってしまいます。

面接では、直近で入社した人がどんな流れで担当を持ったかを聞くと、実態がつかめます。

よくある質問

自社開発についていけないのは、実力不足だからですか

多くは業務知識と作法の違いです。半年で落ち着く人がほとんどです。

入社何か月で判断すべきですか

半年が目安です。ただ、体調に影響が出ているなら、期間に関係なく相談してください。

周りに質問しづらいです

入社直後ほど聞きやすい時期です。聞く相手を決めてもらうと負担が減ります。

受託に戻るのは後退ですか

後退ではありません。合う働き方を選び直すだけです。

勉強は業務外でするべきですか

担当範囲の理解を業務時間内で進めるほうが効率的です。全部を業務外にする前提の職場は見直したほうがよいです。

まとめ

ついていけないと感じる原因は、能力ではなく前提の違いです。

  • 原因は、業務知識・技術の前提・進め方の3つに分かれる
  • 最初の1か月は、利用者の使い方を知ることに使う
  • 比べるなら、同じ条件のときの姿と比べる
  • レビューの指摘は、理由まで聞いて記録する
  • 半年たっても変わらないなら、環境を疑う

入ったばかりの時期に感じる差は、知識の差であることがほとんどです。埋める順番さえ間違えなければ、数か月で景色は変わります。

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